ベビーシッター代が控除になるかもしれません|令和9年度税制改正要望を読む

ベビーシッター代が控除になるかもしれません|令和9年度税制改正要望を読むのイメージ子育てとお金

この記事は「まだ決まっていないこと」を扱っています

以下で紹介するのは、2026年8月に厚生労働省が提出した要望です。制度として決まったものではありません。

実現するかどうかは、2026年12月に公表される与党税制改正大綱に盛り込まれるかで決まります。見送られる要望や、一部だけ盛り込まれる要望もあります。

厚生労働省が新しく要望したこと

2026年8月、厚生労働省が令和9年度の税制改正要望を公表しました。その中に、子育て世帯に直接かかわる新規の要望が1つ入っています。

*○ 家事支援サービスやベビーシッター等の利用に要する費用に係る税制上の所要の措置

〔所得税、個人住民税〕

子育てや介護等による離職やキャリアへの影響を防止し、多様な人材が能力を発揮できる環境整備を図ることによって仕事と子育て・介護等の両立に資するため、家事支援サービスやベビーシッターを含む認可外保育施設の利用に要する費用について、税制上の所要の措置を講ずる。

厚生労働省「令和9年度 税制改正要望事項」より引用しました。

ここから読み取れること

  • 新規要望です(今ある特例の延長ではありません。ただし似た要望は過去にもあり、こども家庭庁の要望書によると、平成28年度〜令和2年度に厚生労働省と内閣府の共同要望、令和8年度にこども家庭庁の単独要望として出されています)
  • 対象は所得税と個人住民税。つまり私たちが払う税金の話です
  • 経済産業省・こども家庭庁との共同要望
  • 対象に挙がっているのは家事支援サービス、ベビーシッター、認可外保育施設

共同要望なので、こども家庭庁の要望にも同じ名前の項目が入っています(こども家庭庁の要望書では、税目は「所得税」と書かれています)。省庁ごとの要望の中身は、省庁の審議会や白書をまとめている姉妹サイト「日本の審議会」に載せています。

なぜ「決まる前」の話をするのか

草地に続く6つの踏み石の、いちばん手前の石に桜文鳥のしぐれと白文鳥のみぞれが立っている。奥の大きな石はまだ遠く、わきの巣箱は取り付けられていない

税制改正は、次の順番で進みます。

税制改正が決まるまで

  1. 8月末 … 各省庁が財務省へ税制改正要望を出す ← いまここ
  2. 秋 … 政府税制調査会・与党税制調査会で議論
  3. 12月中旬 … 与党税制改正大綱が公表される(ここでほぼ決まる)
  4. 12月下旬 … 大綱が閣議決定
  5. 翌年3月 … 国会で法案が成立
  6. 翌年以降 … 施行

ニュースで大きく報じられるのは3の大綱です。しかし要望の段階で何が出ているかを見ておくと、12月に驚かずに済みます。

そして要望書は誰でも読めます。厚生労働省のサイトに、PDFで公開されています。

実現するとは限りません

要望はふるいにかけられます

税制改正要望は「各省庁の希望」です。財務省と与党税制調査会での議論を経て、大綱に盛り込むかどうかが決まります。

要望のとおりに載るとは限りません。一部だけ載ったり、検討事項に回ったり、見送られたりします。「要望が出た=決まった」ではありません。

前の年度の要望が大綱でどう扱われたかも、「日本の審議会」に載せています。

この記事は「ベビーシッター代が控除になります」と言っているのではありません。「そういう要望が出た」という事実を伝えています。

何が争点になりそうか

要望書には、控除の方式も金額も書かれていません。 「税制上の所要の措置を講ずる」という書き方にとどまっています。

制度化に向けては、次のような論点が避けられません。

論点決まっていないこと
控除の方式所得控除か、税額控除か
対象の範囲どのサービスまで含めるか
上限額いくらまで対象にするか
所得制限高所得世帯を対象外にするか
証明の方法領収書か、事業者の証明書か

「認可外保育施設」が明記されている点は注目に値します。国の幼児教育・保育の無償化で、認可保育所などの利用料が無料になるのは、3〜5歳のすべての子どもと、0〜2歳の住民税非課税世帯の子どもです。0〜2歳で住民税が課税される世帯は、原則として保育料を払っています。

認可外保育施設(ベビーシッターなどを含む)は、市町村から「保育の必要性の認定」を受けた場合に、3〜5歳は月3.7万円まで、0〜2歳の住民税非課税世帯は月4.2万円までが無償化の対象です。上限を超える分や、住民税が課税される世帯の0〜2歳の利用料は対象外です。そこに税制で手当てするという発想です。

同じ要望書に入っていた、もう1つの子育て関連項目

雇用の分野に「雇用保険制度等の見直しに伴う税制上の所要の措置」という項目もありました。対象は所得税・個人住民税などです。内容はこう書かれています。

雇用保険制度等のあり方について、労働政策審議会において検討を行い、検討結果等を踏まえて税制上の所要の措置を講ずる。

育児休業給付は雇用保険から支払われています。 雇用保険制度の見直しは、育休給付の非課税の扱いにも関係しうる話です。ただし要望書の書き方は抽象的で、現時点で何が変わるのかは読み取れません。

労働政策審議会での議論を追う必要があります。

いま使えるもの

要望の話は来年以降です。いま使える制度を確認しておいてください。

この記事は12月に書き直します

与党税制改正大綱が公表されたら、この記事を更新します。

  • 大綱に入った場合 … 内容と適用時期を追記します
  • 大綱から落ちた場合 … その事実を追記します

どちらになっても、結果をここに書きます。 「要望が出た」で終わらせません。

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よくある質問

ベビーシッター代の控除はいつから使えますか?

まだ決まっていません。2026年8月に厚生労働省が令和9年度の税制改正要望として提出した段階です。実現するかどうかは、12月に公表される与党税制改正大綱に盛り込まれるかで決まります。

要望が出れば必ず実現しますか?

しません。税制改正要望は各省庁が財務省に提出する希望です。与党税制改正大綱に盛り込まれるかどうかで決まり、一部だけ盛り込まれたり、見送られたりする要望もあります。

対象になるのはどんなサービスですか?

要望書には「家事支援サービスやベビーシッターを含む認可外保育施設の利用に要する費用」と書かれています。具体的な範囲や控除の方式は、制度化されるときに決まります。

いま使える子育て関連の控除はありますか?

扶養控除や特定親族特別控除があります。また自治体によってはベビーシッター利用支援事業などの助成制度があるため、お住まいの市区町村の子育て支援窓口で確認してください。