先に結論
- 医療費控除は、確定申告書に「医療費控除の明細書」を付けて受けます。領収書は出さず、確定申告期限等から5年間、自宅などで保存します
- 健康保険の「医療費のお知らせ」は、6つの項目がそろっていれば、添付することで明細書の記載を簡略にでき、その分の領収書の保存も不要です(明細書は作ります)。ただし、前年の分が載っている・年末の分が載っていないことがあり、そのままの合計は使えません
- 保険金や高額療養費で補てんされる額は、その医療費からだけ差し引きます。額が決まっていなければ見込額で申告し、あとで直します
- セルフメディケーション税制とはどちらか一方で、申告後に選び直せません。分かれ目は、対象医薬品以外の医療費が88,000円未満かどうかです。未満ならセルフメディケーション税制の控除額が大きくなります(総所得金額等200万円以上・対象医薬品の購入が12,000円超10万円以下・補てん後の額で比べた場合。「一定の取組」をしていることが条件)
- 源泉徴収税額が0円の人は、申告しても所得税は戻りません。 住民税の所得割がかかっているなら、住民税の申告で医療費控除を受ける道があります
- 令和8年分は、法定の期間に当てはめると2027年2月16日(火)〜3月15日(月)が申告期間です。還付申告なら2027年1月1日から5年間出せます
- いずれも2026年9月時点で国税庁・厚生労働省が公表している内容です。令和8年分の様式と作成コーナーの画面は、まだ公開されていません
医療費控除は、会社員でも年末調整では受けられず、確定申告が要る控除です。この記事は、申告書を作る手順に絞ります。
何が対象になるかは医療費控除の対象になるもの・ならないもの完全リストに、家族の分を誰の申告に入れるかは領収書の箱を開けた夜にまとめています。確定申告そのものが要るかどうかの判定は、会社員の確定申告が必要な人・不要な人から始めてください。
申告する前に、戻る額の見当をつける
足切りを超えているか
医療費控除の額は、次の式で出します(国税庁No.1120。最高200万円)。
医療費控除額 = 実際に支払った医療費の合計
− 保険金などで補てんされる金額
− 足切り額(10万円。総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)
総所得金額等が200万円未満の人は、10万円に届かなくても控除が出ることがあります。横浜市の案内にある例では、総所得金額等150万円の人の足切りは7万5千円です。医療費を9万円払っていれば、1万5千円が控除になります。
戻るのは「医療費」ではなく「税金」
控除は所得から差し引くものです。戻る所得税は、控除額にその人の所得税率を掛けた額が目安になります。所得税率は課税される所得に応じて5%から45%の7段階です(国税庁No.2260)。令和8年分は、所得税に2.1%の復興特別所得税が上乗せされます。
| 医療費控除の額 | 所得税率5%の人 | 所得税率10%の人 | 所得税率20%の人 |
|---|---|---|---|
| 3万円 | 約1,500円 | 約3,100円 | 約6,100円 |
| 10万円 | 約5,100円 | 約1万200円 | 約2万400円 |
表は復興特別所得税を含めた概算です。実際の税額は、1,000円未満や100円未満の端数処理で少しずれます。これとは別に、翌年度の住民税(所得割)も減ります。確定申告をすれば、住民税の申告は別に要りません(横浜市)。
源泉徴収税額が0円なら、所得税は戻らない
所得税の還付は、源泉徴収などですでに納めた所得税があるときにだけ起きます。国税庁No.2030は、源泉徴収された所得税がない人は申告しても還付される所得税はないとしています。パートの収入が少ない配偶者などは、源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄を先に見てください。
所得税が0円でも、住民税の所得割がかかっている人はいます。横浜市は、所得税の確定申告をしない人が、市民税・県民税の申告書に医療費控除の明細書を付けて医療費控除を受ける手続きを案内しています。逆に、住民税の所得割もかかっていない人は、控除の効果がないとしています。扱いと提出先は、お住まいの市区町村に確かめてください。
住宅ローン控除の1年目と重なる年
家を取得した翌年は、住宅ローン控除のために確定申告をします。医療費控除も同じ申告書に書きます。ただ、住宅ローン控除で所得税がすでに0円になる人は、医療費控除を足しても所得税の還付は増えません。戻る所得税が残っていないからです。住民税への効き方はこれとは別で、この記事では計算していません。

入れても所得税が戻らない年は、どうやって見分けるの?

作成コーナーで、医療費控除を入れる前と入れた後の税額を見比べると、戻る額を読み違えずに済みます。
住宅ローン控除の申告書類は住宅ローン控除1年目の確定申告にあります。所得税から引ききれない控除が住民税に回る仕組みは、ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できるに書いています。
そろえるもの
手元に集めるもの
- 医療費の領収書(家族の分も。ドラッグストアのレシートを含む)
- 健康保険から届いた「医療費のお知らせ」(届いている場合)
- 保険会社の入院給付金などの支払通知、健康保険の高額療養費などの支給決定通知
- 勤務先の源泉徴収票(申告書を作るときに使う。提出は不要)
- e-Taxで出すならマイナンバーカード
源泉徴収票は、平成31年4月1日以後、確定申告書への添付も提示も要らなくなりました。ただし申告書を作るときには使います(国税庁No.1120)。
「医療費控除の明細書」の書き方
医療費控除の申告は、この明細書が中心です。国税庁No.1120は、提出の仕方をこう書いています。
医療費の領収書から「医療費控除の明細書」または「セルフメディケーション税制の明細書」を作成(注1)し、確定申告書に添付してください。
平成29年分からの取り扱いです。それまでは領収書そのものを付けていましたが、いまは明細書を付け、領収書は手元に残します。
なお、医療費控除の明細書の記載内容を確認するため、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、医療費の領収書(医療費通知を添付したものを除きます。)の提示または提出を求める場合があります。
国税庁No.1120より。出さなくていいが、捨ててはいけないのが領収書です。
明細書は3つの欄でできている
国税庁が公開している様式は、上から3つの欄に分かれています。
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 1 医療費通知に記載された事項 | 医療費のお知らせを添付する場合に、(1)お知らせに載った医療費の額、(2)そのうちその年中に実際に支払った額、(3)そのうち保険などで補てんされる額 |
| 2 医療費(上記1以外)の明細 | お知らせに載っていない医療費を、領収書から。(1)医療を受けた人、(2)病院・薬局などの支払先、(3)医療費の区分、(4)支払った額、(5)そのうち補てんされる額 |
| 3 控除額の計算 | 1と2の合計から補てん額を引き、足切り額を引いて控除額を出す |
2の「医療費の区分」は、診療・治療/介護保険サービス/医薬品購入/その他の医療費の4つから選びます。
様式には、「領収書1枚」ごとではなく「医療を受けた方」・「病院等」ごとにまとめて記入できる、と書かれています。同じ病院に10回通ったなら、1行にまとめて合計額を書けば足ります。国税庁の手続Q&A(問3)には、同じ薬局で家族の医薬品を買った領収書を、家族の名前を並べて1行にした記載例も載っています。
3の欄で使う「所得金額の合計」
足切り額を出すには、総所得金額等が要ります。様式は、申告書第一表の「所得金額」の合計欄を書き写すとしています。退職所得や申告分離課税の所得がある人は、その所得金額を加えます。総所得金額等の5%と10万円の、少ないほうが足切り額です。
書いてみる
家族3人の例で、明細書の流れを追います。総所得金額等は400万円とします。
| 欄 | 中身 | 支払った額 | 補てんされる額 |
|---|---|---|---|
| 1 | 医療費のお知らせ(1月〜10月の本人と子の受診)。実際に支払った額 | 62,340円 | 0円 |
| 2 | 本人/歯科医院/診療・治療(11月・12月の通院) | 18,000円 | 0円 |
| 2 | 子/薬局/医薬品購入(風邪薬) | 4,200円 | 0円 |
| 2 | 配偶者/病院/診療・治療(入院。お知らせに未反映) | 150,000円 | 100,000円(入院給付金) |
- 支払った医療費の合計:62,340+18,000+4,200+150,000=234,540円
- 補てんされる金額の合計:100,000円
- 差引金額:234,540−100,000=134,540円
- 足切り額:400万円×5%=20万円と10万円の少ないほう=10万円
- 医療費控除額:134,540−100,000=34,540円
所得税率10%の人なら、戻る所得税は復興特別所得税を含めて約3,500円です。数字は説明のための例です。
医療費のお知らせを使うときの落とし穴
健康保険組合などが送ってくる「医療費のお知らせ」は、条件を満たせば明細書の記載を簡略にできます。明細書が要らなくなるわけではありません。国税庁の手続Q&A(問1)は、次の6項目がそろった医療費通知を付ければ、明細書の記載を簡略にでき、領収書の保存も不要になるとしています。
医療費通知として使える6項目
- 被保険者等の氏名
- 療養を受けた年月
- 療養を受けた者
- 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
- 被保険者等が支払った医療費の額
- 保険者等の名称
6項目を載せるかどうかは、保険者の任意です(同Q&A問5)。手元のお知らせに6項目がそろっているかを、最初に確かめます。 「医療費控除に使用できない」と書かれたお知らせでも、6項目がそろっていれば使えます(同問6)。
前年の分が載っている
明細書の様式には、次の注意書きがあります。
(注) 医療費通知には前年支払分の医療費が記載されている場合がありますのでご注意ください。
医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が対象です(国税庁No.1120)。お知らせの期間が前年の秋から始まっていれば、その分は今年の控除に入りません。明細書の1の欄に(1)と(2)が分かれているのは、このためです。(2)には、その年中に実際に払った額だけを書きます。
年末の分が載っていない
お知らせは、作られた時点までの受診しか載りません。横浜市は、11月と12月の医療費が載っていない場合、領収書で計算した額を明細書の2の欄に書くとしています。国税庁の手続Q&A(問7)も、自由診療やドラッグストアの医薬品など、お知らせに載らない医療費は領収書から明細書に書くとしています。お知らせを付けても、年末の分とドラッグストアの分の領収書は残しておくことになります。
そのほか、そのままでは使えないお知らせ
使う前に見るところ
- 医療費の総額(10割)しか載っていないお知らせは、そのままでは添付できません。自己負担額を書き足すか、領収書から明細書を作ります(手続Q&A問11)
- 病院や薬局の名前が空欄の行は、そのままでは対象にできません。名前を書き足した分は、領収書を5年保存します(同問12・13)
- 市区町村の医療費助成で窓口では払っていない額が、支払った額として載っていることがあります。控除は実際に払った額で計算します(同問8)
窓口負担の端数(10円未満)で、お知らせの額と領収書の額が少し違うことがあります。手続Q&A(問10)は、お知らせの額で計算しても、実際に払った額で計算してもよいとしています。
助成で払っていない分の書き方は、領収書の箱を開けた夜で具体的な場面として追いました。
e-Taxで出すとき(令和6年分・令和7年分の案内では)
令和8年分の作成コーナーの画面は、まだ公開されていません。ここでは、令和6年分・令和7年分の国税庁の案内で確かめたことだけを書きます。
マイナポータル連携は、例年2月9日から
マイナポータル連携を使うと、医療費通知情報を取り込み、申告書に自動で入力できます。取り込める時期について、令和6年分の作成コーナーのよくある質問はこう書いています。
例年、原則2月9日から、申告年分の1月から12月までの1年間分の医療費通知情報が取得できるようになります。
令和7年分の特集からリンクされている国税庁のチラシも、「毎年2月9日以降」に取得できるとしています。令和8年分の取得開始日はまだ公表されていませんが、例年どおりなら2027年2月9日ごろからです。令和8年分の還付申告は2027年1月1日から出せますが、それより前に出すと、この自動入力は使えません。 その場合は領収書から入力します。
マイナポータル連携で取れないもの
- 保険診療分でも、はり・きゅうの施術費や、整骨院・接骨院の柔道整復療養費などは取得できない情報があります(国税庁のチラシ)
- ドラッグストアで買った医薬品のように、保険診療でない支払いは入りません。領収書から追加で入力します
- 家族の分を取り込むには、マイナポータルで代理人の登録が要ります。登録には家族のマイナンバーカードが必要で、家族自身もマイナポータルの利用者登録を済ませておきます
領収書が多いときは「医療費集計フォーム」
国税庁は、表計算ソフトで医療費を集計する「医療費集計フォーム」を配っています。入力したデータは、作成コーナーの医療費控除の画面で読み込めます。ただし、セルフメディケーション税制を選ぶ人は使えません(令和7年分確定申告特集)。
保険金などで補てんされる金額の引き方
その医療費からだけ引く
補てんされる金額には、生命保険の入院給付金、健康保険の高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などが入ります(国税庁No.1120)。引き方には決まりがあります。
(注)保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。
国税庁No.1120より。たとえば、入院費8万円に対して入院給付金が10万円出たとします。引くのは8万円までで、その入院の医療費は0円になります。余った2万円を、別の通院の医療費から引く必要はありません。
| 医療費 | 支払った額 | 補てん | 控除の計算に残る額 |
|---|---|---|---|
| 入院(給付金10万円の対象) | 80,000円 | 80,000円(10万円のうち8万円まで) | 0円 |
| 別の病気の通院 | 50,000円 | 0円 | 50,000円 |
額が決まっていないときは見込額で
12月の入院の高額療養費が、申告の時期にまだ決まっていないことがあります。国税庁のQ&Aはこう答えています。
医療費を補てんする保険金等の額が、医療費を支払った年分の確定申告書を提出する時までに確定していない場合には、補てんされる保険金等の見込額に基づいて計算します。
国税庁No.1120のQ&A(Q2)より。あとで確定した額と見込額が違ったら、修正申告か更正の請求で直します。見込額を0円にして出すと、あとで補てんが決まったときに修正申告が要ることになります。

高額療養費の見込額なんて、自分で出せるのかな。

加入している健康保険に、支給の見込みを問い合わせるのが早道です。上限額の仕組みは高額療養費の記事にあるので、自分の区分から見当をつけることもできます。
出産育児一時金も補てんの代表です。出産費用から差し引く扱いは対象リストの記事と出産育児一時金の記事にあります。
セルフメディケーション税制との選び方
使える人の条件
セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例です。ドラッグストアで買える対象医薬品(スイッチOTC医薬品など)の購入費から12,000円を引いた額(最高88,000円)が控除になります(国税庁No.1129)。
使えるのは、その年に健康診断や予防接種などの「一定の取組」をした人です。取組をしている必要があるのは申告する本人で、家族は問われません(No.1129)。勤務先の定期健康診断、保険者の健診、インフルエンザの予防接種などが当たります。
見落としやすいのは、自分で申し込んだ人間ドックです。厚生労働省のQ&A(Q19)は、こう答えています。
申請者が任意に受診した健康診査(全額自己負担)は、「一定の取組」に含まれません。
ただし、その結果を勤務先や保険者に出し、定期健康診断や特定健康診査の結果とみなされる場合は当たります。この場合は、勤務先や保険者に取組の証明を頼むことになります(同Q20)。なお、健診や予防接種の費用そのものは、控除の対象になりません(No.1129)。
取組を示す書類は、申告書に付けなくてかまいません。ただし確定申告期限等から5年間、税務署から提示や提出を求められることがあるので、健診の結果通知や領収書を保管します(No.1129の注3)。
選んだら、あとから変えられない
(注)セルフメディケーション税制の適用を受けることを選択して確定申告書を提出した場合には、その後において納税者が更正の請求や修正申告書により、セルフメディケーション税制から通常の医療費控除へ適用を変更することはできません。
国税庁No.1131より。同じ注の後半にあるとおり、通常の医療費控除を選んだ場合も変えられません。申告書を出す前に、両方を計算して比べるのが順番です。
分かれ目は「対象医薬品以外の医療費が88,000円」
2つの控除の式を並べると、比べ方が見えてきます。
- 通常の医療費控除:(対象医薬品以外の医療費+対象医薬品の購入費)−10万円
- セルフメディケーション税制:対象医薬品の購入費−12,000円
対象医薬品の購入費は、治療や療養のための医薬品なら通常の医療費控除にも入ります。両方の式に同じ額が入るので、差を決めるのは対象医薬品以外の医療費です。これが88,000円未満なら、セルフメディケーション税制のほうが控除額は大きくなります。
この比べ方が成り立つのは、総所得金額等が200万円以上で、対象医薬品の購入費が12,000円を超え10万円以下の場合です。購入費が12,000円以下なら、セルフメディケーション税制の控除は0円です。国税庁が示している基準ではなく、上の2つの式から出したものです。
| 例 | 対象医薬品以外の医療費 | 対象医薬品の購入費 | 通常の医療費控除 | セルフメディケーション税制 | 大きいほう |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 40,000円 | 30,000円 | 0円 | 18,000円 | セルフメディケーション |
| B | 80,000円 | 30,000円 | 10,000円 | 18,000円 | セルフメディケーション |
| C | 95,000円 | 30,000円 | 25,000円 | 18,000円 | 通常の医療費控除 |
金額はいずれも補てん後の額です。総所得金額等が200万円未満の人は、10万円の代わりに総所得金額等の5%を使って、両方を計算してください。対象医薬品を10万円を超えて買った人も、両方の式で計算して比べます。
令和8年分の購入で気をつけること
令和8年分と、令和9年分からの違い
- 令和8年12月31日までに買った対象医薬品は、いまの制度で控除の対象です。省庁のページに残る「令和8年12月31日まで」は、いまの制度の購入期間の終わりです(租税特別措置法第41条の17)。期限の撤廃・延長は令和9年分以後の話です
- 4つの成分を含む医薬品は、令和8年1月1日以降に買った分から対象外です。L-アスパラギン酸カルシウム・フッ化ナトリウム・メコバラミン・ユビデカレノンです(厚生労働省の事務連絡・Q&A Q6)
- 対象かどうかは、薬局やドラッグストアのレシートの表示で確かめます。厚生労働省は、令和9年1月1日以降しばらく包装の識別マークの切り替えが行われるため、レシートの表示を確認するよう呼びかけています(Q&A Q7)
- 令和8年度税制改正で、スイッチOTC医薬品の部分は適用期限がなくなり、それ以外は5年延長されました。対象の範囲も見直されます。いずれも令和9年分以後の所得税からの話で、令和8年分の申告には関係しません(財務省の大綱)
申告書に付けるのは「セルフメディケーション税制の明細書」です。レシートは付けずに、確定申告期限等から5年間保存します(No.1129の注1)。
副業の所得とふるさと納税も、同じ申告書に書く
医療費控除のためだけの申告でも、ほかの所得や控除を省いてよいことにはなりません。
- 20万円以下の副業の所得も書きます。 20万円以下なら申告不要という決まりは、申告しない場合の定めです。申告するなら含めます。差し引きで戻る額が小さくなる点を含めて、確定申告が必要な人の記事と副業の20万円の記事に書いています
- ふるさと納税のワンストップ特例は、確定申告をすると無効になります。 特例を申請した寄附も、同じ申告書の寄附金控除に書き直します。手順はふるさと納税の確定申告のやり方にあります

医療費控除のことで頭がいっぱいだと、ワンストップ特例を申請した寄附を書き落としやすくなります。寄附の受領証明書も、医療費の領収書と一緒に並べておいてください。
出し忘れ・書き漏れに気づいたら
申告期間と、還付申告の5年
確定申告の期間は、国税庁No.2020が「原則として、その年の翌年2月16日から3月15日まで」としている法定の期間です。令和8年分に当てはめると、2027年2月16日(火)から3月15日(月)までです。期限が日曜日・祝日などに当たると翌日に延びます(国税通則法第10条第2項)が、2027年3月15日は月曜日なので延びません。令和8年分についての国税庁の案内は、まだ公表されていません。
医療費控除だけで申告する人は、多くが還付申告です。国税庁No.2030は、還付申告書を確定申告期間とは関係なく、翌年1月1日から5年間出せるとしています。令和8年分なら、2027年1月1日から2031年12月31日までです。
過去の年分の出し忘れを取り戻す手順は還付申告は5年さかのぼれるに、申告の義務がある人が期限を過ぎた場合は確定申告の期限を過ぎたらにまとめています。
出したあとで領収書が出てきた
還付申告をしたあとで、医療費の書き漏れに気づいたときは、更正の請求で直します。国税庁No.2030は、更正の請求ができる期間を、原則として還付申告書を提出した日から5年以内としています。
ただし、セルフメディケーション税制と通常の医療費控除の選び直しは、更正の請求でもできません(No.1131)。
還付までの期間
国税庁は、e-Taxで出した還付申告は3週間程度で処理しているとしています。2月・3月の確定申告期間中は、支払手続におおむね1か月から1か月半程度かかるとしています(確定申告期に多いお問合せ事項Q41)。訂正申告を重ねた場合や、書類を郵送で別に送った場合は、e-Taxでも3週間程度の処理の対象外です。
まとめ
- 医療費控除は、確定申告書に医療費控除の明細書を付けて受ける。領収書は出さずに5年間保存
- 明細書は「1 医療費通知」「2 それ以外の明細」「3 控除額の計算」の3つの欄。支払先ごとにまとめて書ける
- 医療費のお知らせは6項目がそろえば使える。前年の分・年末の分・助成で払っていない分に注意
- 補てんされる額はその医療費からだけ引く。決まっていなければ見込額で申告し、あとで直す
- セルフメディケーション税制とは選択制で、選び直せない。総所得金額等200万円以上・対象医薬品12,000円超10万円以下なら、対象医薬品以外の医療費88,000円未満でセルフメディケーションの控除額が大きい
- 源泉徴収税額が0円なら所得税は戻らない。住民税の所得割がかかっていれば、住民税の申告で控除を受ける道がある
- 令和8年分の申告期間は2027年2月16日(火)〜3月15日(月)。還付申告なら2027年1月1日〜2031年12月31日
医療費控除で手間がかかるのは、計算よりも集めることです。年が明けたら、領収書とお知らせと保険の通知を1つの箱にまとめ、例年2月9日ごろ以降に作成コーナーを開く。この順番で進めると、二度手間が減ります。
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出典
- 国税庁 タックスアンサー No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
- 国税庁 タックスアンサー No.1120 Q&A(医療費のお知らせ・補てん金が未確定の場合)
- 国税庁「医療費控除に関する手続について(Q&A)」(PDF)
- 国税庁「医療費控除の明細書」様式(Excel)
- 国税庁 令和7年分確定申告特集「医療費控除を受ける方へ」
- 国税庁「医療費控除のマイナポータル連携について」(PDF)
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー「マイナポータル連携で医療費通知情報を取得できる時期」
- 国税庁 タックスアンサー No.1129 セルフメディケーション税制
- 国税庁 タックスアンサー No.1131 セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用
- 国税庁 タックスアンサー No.2030 還付申告
- 国税庁 タックスアンサー No.2020 確定申告
- e-Gov法令検索「国税通則法」
- 国税庁 タックスアンサー No.2260 所得税の税率
- 国税庁「確定申告期に多いお問合せ事項Q&A【税金の還付】」
- 厚生労働省「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について」
- 厚生労働省「セルフメディケーション税制に関するQ&A」(令和8年8月7日時点・PDF)
- 厚生労働省 事務連絡「令和7年12月31日を末日としてセルフメディケーション税制の対象から除外される成分について」(PDF)
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」
- 横浜市「医療費控除に関するよくある質問」
本記事は2026年9月29日時点で公表されている内容(国税庁タックスアンサーは令和8年4月1日現在法令等)に基づいています。令和8年分の確定申告の様式・手引き・作成コーナーは、まだ公表されていません。住民税の申告の扱いは市区町村によって異なる場合があります。個別の判断は、所轄の税務署またはお住まいの市区町村の窓口にご確認ください。
よくある質問
医療費の領収書は、確定申告書に付けて出すのですか?
出しません。領収書から「医療費控除の明細書」を作って確定申告書に付けます。領収書は、税務署から提示や提出を求められることがあるため、確定申告期限等から5年間は自宅などで保存します。医療費通知(医療費のお知らせ)を添付した分は、その保存も要りません。
健康保険組合の「医療費のお知らせ」だけで申告できますか?
6つの項目(被保険者等の氏名・療養を受けた年月・療養を受けた者・病院や薬局などの名称・支払った医療費の額・保険者等の名称)がそろっていれば、明細書の記載を簡略にできます。ただし、お知らせには前年に払った分が載っていたり、年末の受診が載っていなかったりします。載っていない分は、領収書から明細書に書き足します。
入院給付金の額が、確定申告のときにまだ決まっていません。
補てんされる金額の見込額で計算して申告します。あとで確定した額と見込額が違ったら、修正申告か更正の請求で直します(国税庁No.1120のQ&A)。
セルフメディケーション税制と通常の医療費控除は、どちらが得ですか?
両方の控除額を計算して比べます。総所得金額等が200万円以上で、対象医薬品の購入費が12,000円を超え10万円以下なら、対象医薬品以外の医療費(補てん後)が88,000円未満のときにセルフメディケーション税制のほうが控除額が大きくなります。どちらか一方しか選べず、申告したあとで選び直すことはできません。
源泉徴収税額が0円でも、医療費控除の申告をする意味はありますか?
所得税は戻りません(国税庁No.2030)。ただし住民税の所得割が課税されているなら、医療費控除で翌年度の住民税が減ることがあります。確定申告をしない場合は、市区町村へ住民税の申告をして医療費控除を受ける方法があります(横浜市の案内)。



