先に結論
- 任意継続が安くなりやすいのは、退職前の給与が高かった人と、扶養する家族が多い人。国保が安くなりやすいのは、倒産・解雇・雇止め・正当な理由のある自己都合などで離職した65歳未満の人(雇用保険の特定受給資格者・特定理由離職者)と、所得が下がった翌年度。 ただし傾向で、前年の所得と市区町村で逆になります
- 退職後の健康保険は3択です。任意継続(辞めた会社の健康保険を最長2年続ける)、国民健康保険、家族の健康保険の被扶養者
- 家族の扶養に入れるなら、保険料の負担はありません。 ただし年収130万円未満(60歳以上などは180万円未満)の見込みが条件です。失業給付(基本手当)の日額が3,612円以上だと、受給中は入れません(日本年金機構)
- 任意継続は、会社負担がなくなるので在職中の約2倍。 ただし上限があり、協会けんぽの令和8年度は標準報酬月額32万円で頭打ちです。健康保険組合は上限の扱いが組合ごとに違います
- 国民健康保険は、前年の所得・加入する人数・住んでいる市区町村で決まります。 倒産・解雇・雇止め・正当な理由のある自己都合などの離職で条件に当てはまれば、前年の給与所得を100分の30とみなす軽減があり、届出が必要です
- どちらが安いかは人によって逆になります。国保の額は市区町村に聞かないと出ません。 任意継続の申出期限は退職日の翌日から20日以内なので、それまでに両方の額をそろえてください
退職の手続きで、いちばん時間の余裕がないのが健康保険です。任意継続には20日の期限があり、国保の保険料は市区町村に聞かないと分かりません。どちらが安いかを調べているうちに期限が過ぎる、という順番になりがちです。
この記事は、比べる順番を書きます。国保の保険料の早見表は置きません。市区町村ごとに料率が違い、目安の額を信じて選ぶと、かえって高いほうを選んでしまうことがあるためです。
退職前後の手続き全体は退職前後の手続きチェックリストに、失業給付の額は失業保険(基本手当)はいくら・いつから・何日分にまとめています。
退職後の健康保険は3つから選ぶ
協会けんぽは、退職後の選択肢をこう書いています。
退職後の健康保険には、「健康保険任意継続」、「国民健康保険」、「ご家族の健康保険(被扶養者)」の3つの選択があります。
3つの違いを先に並べます。
| 任意継続 | 国民健康保険 | 家族の被扶養者 | |
|---|---|---|---|
| 手続き先 | 辞めた会社の健康保険(協会けんぽなら住所地の支部) | 住んでいる市区町村 | 家族の勤務先 |
| 期限 | 資格喪失日から20日以内 | 14日以内(届出の義務) | 家族の勤務先に確認 |
| 保険料の決まり方 | 退職時の標準報酬月額×料率(全額自己負担・上限あり) | 前年の所得と加入人数(市区町村ごとに違う) | 本人の負担なし |
| 家族の保険料 | 扶養する家族は追加の負担なし | 加入する人数ぶん増える | ― |
| 入れる期間 | 最長2年 | 期限なし | 収入要件を満たす間 |
比べるときに効いてくるのは、「家族の保険料」の行です。 任意継続は、扶養している家族が何人いても保険料は本人の分だけです。国保は、家族も1人ずつ加入者として数えられます。

いちばん安いのはどれ、って一言で言えないの?

入れるなら家族の扶養が負担なしです。任意継続と国保は、条件しだいで順番が入れ替わります。だから最後は額を並べて比べるしかありません。
任意継続と国保、どっちが安くなりやすいか
どちらが安くなりやすいかは、次の4つで分かれます。理由はどれも、下の節で一次情報とあわせて書いている仕組みから来ています。
| 分かれ目 | 任意継続が安くなりやすい | 国保が安くなりやすい | なぜか |
|---|---|---|---|
| 退職前の給与 | 高かった人(協会けんぽなら標準報酬月額32万円を超えていた人) | 世帯の前年の所得が、国保の軽減の基準を下回る人 | 協会けんぽの任意継続は令和8年度、標準報酬月額32万円で頭打ち。国保の所得割は前年の所得に料率をかけるので、所得が高いほど上がる(年間の上限=賦課限度額まで)。国保には、所得が法令の基準を下回る世帯の均等割・平等割を7割・5割・2割減らす制度がある(厚生労働省)。任意継続には所得による減額はない |
| 扶養する家族 | 多い人 | 単身の人 | 任意継続は扶養家族が何人いても本人の分だけ。国保は均等割が加入する人数ぶんかかる |
| 辞めた理由 | 軽減の対象にならない離職理由の人(正当な理由のない自己都合など) | 雇用保険の特定受給資格者・特定理由離職者(倒産・解雇・雇止め・正当な理由のある自己都合など)で65歳未満の人 | 国保には前年の給与所得を100分の30とみなす軽減がある。任意継続の保険料は、離職理由では変わらない |
| 退職から何年目か | 退職した年度(離職理由による軽減を受ける人を除く) | 翌年度(退職した年の所得が少なければ) | 国保は前年の所得で計算する。任意継続は原則2年間同じ額 |
この表のとおりにならない場合
- 健康保険組合の任意継続は、規約で上限を置かず、退職時の標準報酬月額のまま計算することがあります。その場合、給与が高かった人ほど任意継続が高くなります
- 国保の料率・1人あたりの額は市区町村ごとに違います。 同じ条件でも、住んでいる場所で順番が入れ替わります
- 4つの条件が逆の向きに重なる人(たとえば給与が高く、解雇で辞めた人)は、表からは決められません。額を出して比べてください
額の出し方は、このあとの「比べる順番」に沿って進めます。
比べる順番は「扶養→任意継続→国保」
損をしないための順番はこうです。
比べる順番
- ☐ 家族の扶養に入れるかを先に確かめる(入れるなら、保険料は0円)
- ☐ 任意継続の保険料を出す(退職時の標準報酬月額と料率で、自分で計算できる)
- ☐ 国保の保険料を市区町村に聞く(前年の所得を伝える。会社都合などの離職なら、そのことも伝える)
- ☐ 2年目の額も比べる(国保は2年目に下がることが多い)
- ☐ 退職日の翌日から20日以内に、任意継続にするかを決める
扶養を先に見るのは、入れるなら残りの比較が要らないからです。任意継続を国保より先に出すのは、任意継続は自分で計算できるのに対して、国保は問い合わせが要るからです。
家族の扶養に入れるか
収入の条件は「これからの1年」で見る
協会けんぽに加入している家族の扶養に入るときは、日本年金機構が認定します。収入の条件は、年間収入130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)です。同居なら扶養する人の収入の半分未満、別居なら仕送り額未満という条件もあります。
この「年間収入」は、去年の年収ではありません。
※1 年間収入とは、過去の収入のことではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。(給与所得等の収入がある場合、月額108,333円以下、雇用保険等の受給者の場合、日額3,611円以下であれば要件を満たします。)
日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき」より。年の途中で退職した人は、退職前の給与がいくらあっても、これからの見込みで判断されます。 「今年はもう200万円稼いだから扶養に入れない」とは限りません。
19歳以上23歳未満の人(配偶者を除く)は、扶養認定日が令和7年10月1日以降なら、基準が150万円未満になっています。学生のアルバイトだけでなく、新卒で入った会社を早くに辞めた人にも関係します。
失業給付を受けている間は、日額で判定される
ここがいちばん誤解の多いところです。失業給付(基本手当)は非課税ですが、扶養の判定では収入に数えます。 日本年金機構は、こう書いています。
雇用保険の待機期間中でも、収入要件を満たしている場合は被扶養者として認定することが可能です。ただし、基本手当(3,612円以上)の支給が始まった場合は、扶養削除の届出が必要となります。
3,612円という線は、130万円を360日で割った額(3,611.1…円)から来ています。基本手当の日額が3,612円以上なら、受給している間は扶養に入れません。
| 時期 | 扶養に入れるか(基本手当日額3,612円以上の場合) |
|---|---|
| 退職して、失業給付の手続きをするまで | 収入の見込みが基準未満なら入れる |
| 待期期間中(受給資格の決定後7日間) | 入れる(日本年金機構) |
| 基本手当の支給が始まってから | 入れない。扶養から外す届出が要る |
| 基本手当の受給が終わってから | 収入の見込みが基準未満なら、また入れる |
60歳以上の人の日額と、給付制限の期間
60歳以上または障害者の人は、年収の基準が180万円未満です。ただ、日本年金機構のページには、60歳以上の人が基本手当を受けるときの日額の線は書かれていません。自己都合退職の給付制限の期間の扱いも、同じページには明記がありません。どちらも家族の加入先(勤務先・健康保険組合)に確かめてください。
健康保険組合に加入している家族の扶養に入るときは、組合が独自に判定します。 協会けんぽと同じ基準とは限りません。
ハローワークは扶養の判定をしません。沖縄労働局のQ&Aも、扶養に入れるかどうかは家族の健康保険組合か勤務先に問い合わせるよう案内しています。ハローワークで分かるのは自分の基本手当日額だけです。日額は離職票をもとに計算されるので、離職票が届いたら、まず日額を確かめるのが順番です。

失業給付を受けずに、扶養に入り続けたほうが得なの?

それは比べる相手が違います。扶養で浮く保険料と、受け取る失業給付の総額を、同じ期間で並べてから決めてください。
失業給付には受給期間があり、原則として離職日の翌日から1年を過ぎると、残りの日数があっても受け取れなくなります。扶養を優先して手続きを先送りすると、この期限に当たることがあります。
扶養に入ると、国民年金の保険料も変わる
扶養する人が会社員(厚生年金の加入者)で、あなたが20歳以上60歳未満の配偶者なら、健康保険の扶養と同時に国民年金の第3号被保険者になれます。第3号は国民年金保険料の負担がありません。
任意継続や国保を選んだ場合は、国民年金は第1号被保険者として自分で保険料を納めます。健康保険の比較とは別に、毎月の国民年金保険料の差もつくということです。払うのが難しいときの免除は国民年金保険料の免除・納付猶予の申請に書いています。失業による特例免除があります。
任意継続の保険料を出す
入れる条件と期限
任意継続の条件は、健康保険法第3条第4項にあります。
この法律において「任意継続被保険者」とは、適用事業所に使用されなくなったため、又は第一項ただし書に該当するに至ったため被保険者(日雇特例被保険者を除く。)の資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して二月以上被保険者(日雇特例被保険者、任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であったもののうち、保険者に申し出て、継続して当該保険者の被保険者となった者をいう。
退職日まで、続けて2か月以上加入していた人が対象です。入社して1か月で辞めた人は、前の勤務先の健康保険から1日も空けずに続いていなければ選べません(任意継続・共済組合の期間は数えません)。
申出の期限は第37条です。
第三条第四項の申出は、被保険者の資格を喪失した日から二十日以内にしなければならない。
資格を喪失する日は退職日の翌日です。協会けんぽは、20日目が土日・祝日なら翌営業日まで、郵送なら20日以内に必着としています。
最初の保険料を納めないと、入らなかったことになる
健康保険法第37条第2項は、初めて納める保険料を納付期日までに納めなかったとき、任意継続被保険者とならなかったものとみなすと定めています。申出書を出しただけでは加入は確定しません。
保険料は全額自己負担。ただし上限がある
在職中は、健康保険料を会社と半分ずつ負担していました。退職後は、それが全部自分の負担になります。
また、在職中は事業所とご本人で保険料を半分ずつ負担することとなっていましたが、退職後(資格喪失後)はご本人が全額負担することとなります。
協会けんぽFAQ「保険料について」より。だから任意継続は在職中の約2倍になります。
計算の式は、協会けんぽの案内ではこうです。
退職時の標準報酬月額 × お住まいの都道府県の保険料率(子ども・子育て支援金率を含む)
40歳から64歳までの人は、介護保険料が加わります。
標準報酬月額には上限があります。健康保険法第47条で、次の2つの少ないほうを使うと決まっているためです。
- 退職したときの標準報酬月額
- 前年9月30日時点の、その健康保険の全加入者の標準報酬月額の平均(をもとにした標準報酬月額)
協会けんぽの令和8年度の値です。
令和8年度の健康保険の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限は、32万円となります。
令和7年9月30日時点における全ての協会けんぽの被保険者の標準報酬月額の平均額は318,100円となります。(この額は、標準報酬月額の第23級:32万円に該当します。)
協会けんぽ「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」(令和7年12月10日)より。退職時の標準報酬月額が32万円を超えていた人は、32万円で計算します。 上限は毎年度(4月)見直され、令和9年度の値は例年12月ごろに公表されます。
計算例(協会けんぽ・東京支部・令和8年度)
前提を置いて計算します。協会けんぽの東京支部、令和8年度の料率(健康保険9.85%、介護保険1.62%、子ども・子育て支援金0.23%)です。都道府県が違えば料率が違うので、額も変わります。
| 退職時の標準報酬月額 | 40歳未満(9.85%+0.23%) | 40〜64歳(介護1.62%を加える) |
|---|---|---|
| 30万円 | 30万円×10.08%=30,240円 | 30万円×11.70%=35,100円 |
| 50万円(32万円で計算) | 32万円×10.08%=32,256円 | 32万円×11.70%=37,440円 |
在職中の本人負担と比べます(40歳未満)。
- 標準報酬月額30万円の人: 在職中は14,775円+345円=15,120円。任意継続は30,240円で、ちょうど2倍
- 標準報酬月額50万円の人: 在職中は24,625円+575円=25,200円。任意継続は32,256円で、約1.28倍。上限が効いて、2倍にはなりません
給与が高かった人ほど、上限のおかげで任意継続が割安になりやすいという仕組みです。
標準報酬月額は、自分の給与明細では分からないことがある
標準報酬月額は、原則として毎年4〜6月の給与などから決まる区切りのよい額です。今の月給とずれていることがあります。在職中の健康保険料の天引き額から逆算するか、会社の担当者に聞くのが早道です。協会けんぽの支部に問い合わせれば、個別の保険料を教えてもらえます。
健康保険組合は、上限の扱いが組合ごとに違う
健康保険組合の任意継続も、法律の原則は同じです。ただし健康保険法第47条第2項で、組合は規約で定めれば、退職時の標準報酬月額をそのまま使えることになっています。令和4年1月1日施行の改正で入った仕組みです。
つまり健康保険組合では、上限がない(在職中の2倍がそのままかかる)ことがあります。 上限を設けている組合でも、上限は組合の加入者の平均で決まるので、協会けんぽの32万円と同じとは限りません。自分の組合の上限は、組合のホームページか窓口で確かめてください。
保険料は原則2年変わらない。途中でやめることもできる
任意継続の保険料は、原則として2年間変わりません。 所得が下がっても安くなりません。変わるのは、40歳・65歳になったとき、料率や上限が変わったとき、料率の違う都道府県へ引っ越したときです。
令和4年1月1日からは、本人の申出でやめられるようになりました。健康保険法第38条にこう加わっています。
七任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、保険者に申し出た場合において、その申出が受理された日の属する月の末日が到来したとき。
申出が受理された月の末日が来た翌日に、資格を失います。それまでは、就職するか、保険料を納めないか、2年たつまでやめられませんでした。この改正で、「1年目は任意継続、2年目は国保」という切り替えが、正面からできるようになりました。
任意継続で新しくは出ない給付
協会けんぽは、任意継続の期間中に発生した病気・ケガについて、傷病手当金と出産手当金は支給されないとしています。在職中から受けている傷病手当金は、条件を満たせば退職後も続けて受けられます。こちらは傷病手当金でいくらもらえるかの「退職したらどうなるか」に書いています。
国民健康保険の保険料を聞く
決まり方の構造
国保の保険料は、市区町村が条例で決めます。厚生労働省の説明です。
国民健康保険料(税)は、世帯単位で算定し、世帯の被保険者ごとに応益分・応能分の各種類を計算し、それらを合計したものとなります。
言い換えると、次の組み合わせです。
| 部分 | 何で決まるか |
|---|---|
| 所得割(応能分) | 加入する人の前年の所得に料率をかける |
| 均等割(応益分) | 加入する人数×1人あたりの額 |
| 平等割(応益分) | 1世帯あたりの額(置いていない市区町村もある) |
これが、医療分・後期高齢者支援金分・介護分(40〜64歳の人だけ)ごとに計算されます。令和8年4月分からは、子ども・子育て支援金分も加わりました(こども家庭庁)。それぞれに年間の上限(賦課限度額)があります。
料率も1人あたりの額も、市区町村ごとに違います。 同じ所得・同じ人数でも、住んでいる場所で額が変わります。この記事で具体的な額を出さないのはこのためです。
「前年の所得」で決まるので、1年目が高くなりやすい
国保の保険料は、年度(4月〜翌年3月)ごとに前年(1〜12月)の所得で計算します。
- 退職した年度の保険料は、在職中の所得で計算される。だから高くなりやすい
- 翌年度は、退職した年の所得で計算される。年の途中で辞めていれば、所得が少ない分だけ下がる
たとえば年度の途中で退職して、翌年は仕事をしていなかったとします。1年目は国保のほうが高く、2年目は国保のほうが安いということが起こります。任意継続は2年間ほぼ同じ額なので、2年分を並べて比べる必要があるのはこのためです。
会社都合などの離職なら、給与所得を100分の30とみなす
倒産・解雇・雇止めなどで離職した人には、国保の保険料の軽減があります。国民健康保険法施行令第29条の7の2は、対象者の給与所得について、こう定めています。
当該給与所得については、同条第二項の規定によつて計算した金額の百分の三十に相当する金額によるものとする。
つまり、前年の給与所得を3割として保険料を計算します。 年収が高かった人ほど効きます。
軽減の対象になる人(市区町村の案内)
- 雇用保険の特定受給資格者(倒産・解雇などで離職した人。離職理由コード11・12・21・22・31・32)
- 雇用保険の特定理由離職者(雇止めや、正当な理由のある自己都合で離職した人。離職理由コード23・33・34)
- 離職時に65歳未満であること(高年齢受給資格者・特例受給資格者は対象外)
離職理由コードは、ハローワークで受け取る雇用保険受給資格者証(または受給資格通知)に書かれています。
期間は、施行令では離職の日の翌日の属する年度の翌年度の末日までです。いつ辞めたかで長さが変わります。渋谷区の例では、次のとおりです。
| 離職日 | 軽減の期間 |
|---|---|
| 令和7年3月30日 | 令和7年3月31日から令和8年3月31日まで(13か月分) |
| 令和7年3月31日 | 令和7年4月1日から令和9年3月31日まで(24か月分) |
| 令和7年9月30日 | 令和7年10月1日から令和9年3月31日まで(18か月分) |
この軽減が効かない場合
- 届出をしないと軽減されません。 市区町村の国保の窓口に、受給資格者証などを持って届け出ます。世田谷区は、届出が離職から1年以上遅れると、さかのぼって軽減できない場合があるとしています
- 軽減されるのは給与所得だけです。事業所得や年金などは、そのまま計算されます
- 世田谷区はこう書いています。「そのため、対象者に前年給与所得がない場合や、住民税未申告の場合などは減額になりません。」
- 期間の途中で就職して会社の健康保険に入ると、国保の資格を失うので、そこで終わります。渋谷区は、期間が残っているうちに国保に戻った場合、届け出れば残りの期間は軽減されるとしています(その間に新しく雇用保険の受給資格ができたときは判定し直し)
- 任意継続には、この軽減はありません。 会社都合で辞めた人ほど、国保のほうが安くなりやすいのはこのためです
この軽減で計算した所得は、高額療養費の所得区分の判定にも使われます(世田谷区)。上限額の区分は高額療養費制度が2026年8月に変わったにまとめています。
所得が低い世帯には、これとは別に均等割・平等割の7割・5割・2割の軽減があります(厚生労働省)。住民税の課税状況と連動する支援の全体は、住民税非課税世帯とはにまとめています。
どちらの軽減も、前年の所得が分からないと判定できません。 世田谷区が非自発的失業者の軽減について「住民税未申告の場合」は減額にならないと書いているのは、このためです。退職して収入がなかった年も、住民税の申告が済んでいるかを確かめておきます。
市区町村に聞くときに伝えること
国保の保険料は、窓口や電話で試算してもらえます。自分で試算できるページを置いている市区町村もあります。伝えるのは次の4つです。
- 加入する人全員の、前年の所得(源泉徴収票があれば、それを見ながら)
- 加入する人数と年齢(40〜64歳の人がいるか。未就学児がいるか)
- 退職の理由(会社都合・雇止めなどなら、非自発的失業者の軽減の対象か)
- 何月から加入するか
比べるときの注意点
任意継続→国保の切り替えは「年度」で考える
国保の保険料が下がるのは、前年の所得が変わる年度の替わり目です。1年目を任意継続にして、2年目に国保へ移るなら、国保の新しい年度の保険料がいくらになるかを先に聞いてから、任意継続をやめる申出をします。
任意継続をやめたら、国保には14日以内に届け出る義務があります(国民健康保険法施行規則第3条)。
協会けんぽの任意継続には、6か月分(4〜9月分・10〜翌年3月分)か12か月分(4〜翌年3月分)をまとめて納めると割り引かれる前納の仕組みがあります。割引は年4%(複利現価法)です。

前納していたのに途中でやめたら、どうなるの?

やめる予定の時期が見えているなら、前納の区切り(9月分・3月分)に合わせておくと、あとの手続きが減ります。途中でやめたときの扱いは、支部に先に聞いておきましょう。
保険料は、確定申告で全額が控除になる
任意継続の保険料も国保の保険料も、社会保険料控除の対象です。協会けんぽは、納めた任意継続の保険料は全額が控除の対象になると案内しています。領収証書は再発行されないので保管しておきます。
退職した年は年末調整を受けていないことが多く、確定申告で税金が戻ることがあります。手順は退職した年の確定申告に書いています。
再就職が早そうなら、手続きの手間も比べる
再就職が決まって会社の健康保険に入れば、任意継続も国保も資格を失います。どちらも保険料は月単位です。再就職の見通しがあるなら、数か月分の差額と手続きの手間を並べて決めてもかまいません。早く決まったときの給付は再就職手当にまとめています。
まとめ
- 退職後の健康保険は、任意継続・国民健康保険・家族の被扶養者の3つ
- 家族の扶養に入れるなら、本人の保険料の負担はない。収入はこれからの1年の見込みで見る
- 基本手当の日額が3,612円以上なら、受給中は扶養に入れない(待期期間中は入れる)
- 19歳以上23歳未満(配偶者を除く)は、令和7年10月1日以降の認定から150万円未満
- 任意継続は退職日まで2か月以上の加入が条件。資格喪失日から20日以内に申出
- 任意継続は全額自己負担で在職中の約2倍。協会けんぽの令和8年度の上限は標準報酬月額32万円。健康保険組合は組合ごとに違う
- 任意継続は扶養家族の分の保険料がかからない。国保は加入する人数ぶんかかる
- 令和4年1月1日から、任意継続は本人の申出でやめられる
- 国保は前年の所得・人数・市区町村で決まる。1年目が高く、2年目に下がりやすい
- 会社都合・雇止めなどの離職で65歳未満なら、前年の給与所得を100分の30とみなす軽減。届出が必要。任意継続にはない
- 比べるのは1年分ではなく2年分
健康保険の選び方に、全員に共通する正解はありません。比べる材料をそろえる順番は決まっています。離職票が届いたら基本手当の日額を確かめて扶養を判断し、任意継続の額を計算し、国保の額を市区町村に聞く。この3つを20日のうちに済ませれば、選び直せなくなる前に決められます。
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出典
- 全国健康保険協会「任意継続」
- 全国健康保険協会「【健康保険】令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」
- 全国健康保険協会「保険料について(健康保険任意継続制度)」
- 全国健康保険協会「任意継続の加入条件について」
- 全国健康保険協会「令和8年度保険料額表(都道府県毎)」
- e-Gov法令検索「健康保険法」
- 厚生労働省「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(令和3年法律第66号)の一部施行について」(PDF)
- 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」
- e-Gov法令検索「国民健康保険法施行令」
- e-Gov法令検索「国民健康保険法施行規則」
- 厚生労働省「倒産などで職を失った失業者に対する国民健康保険料(税)の軽減措置」(PDF・平成22年)
- こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」
- 日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」
- 日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」
- 沖縄労働局「よくある質問⑧」(PDF)
- 世田谷区「非自発的失業者の軽減について」
- 渋谷区「非自発的失業者の国民健康保険料の軽減」
本記事は2026年9月28日時点で公表されている内容に基づいています。任意継続の保険料率と上限は毎年度改定され、国民健康保険料の計算方法は市区町村ごとに違います。個別の判断は、加入している健康保険(協会けんぽの支部・健康保険組合)、お住まいの市区町村の国民健康保険の窓口、家族の勤務先にご確認ください。
よくある質問
任意継続と国民健康保険は、どっちが安いですか?
人によって逆になります。退職前の給与が高かった人(協会けんぽの令和8年度は標準報酬月額32万円で頭打ち)と扶養する家族が多い人は任意継続が、倒産・解雇・雇止め・正当な理由のある自己都合などで離職した65歳未満の人(雇用保険の特定受給資格者・特定理由離職者)と、所得が下がった翌年度は国保が安くなりやすい傾向です。国保の額は市区町村に試算してもらい、2年分を並べて比べてください。
任意継続の保険料は、在職中のちょうど2倍ですか?
多くの場合は約2倍ですが、上限があります。協会けんぽの令和8年度は、退職時の標準報酬月額が32万円を超えていても32万円で計算します。お住まいの都道府県が退職前と違う場合なども、2倍にならないことがあります。
任意継続の申し込みはいつまでですか?
資格を喪失した日(退職日の翌日)から20日以内です。協会けんぽは、20日目が土日・祝日なら翌営業日まで、郵送なら20日以内に必着としています。健康保険法には正当な理由があれば期限後でも受理できる定めがありますが、あてにせず期限内に出してください。
会社都合で辞めたら、国民健康保険料は安くなりますか?
雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者で、離職時に65歳未満なら、前年の給与所得を100分の30とみなして国保の保険料を計算する軽減があります。期間は離職日の翌日の属する年度の翌年度末までです。市区町村への届出が必要で、前年に給与所得がない場合は減額になりません。
失業給付をもらいながら、夫や妻の扶養に入れますか?
日本年金機構は、雇用保険の受給者は日額3,611円以下なら収入要件を満たすとしています。基本手当の日額が3,612円以上なら、支給が始まった時点で扶養から外す届出が必要です。待期期間中は、収入要件を満たせば認定できるとしています。
任意継続を途中でやめて、国民健康保険に切り替えられますか?
令和4年1月1日から、本人の申出でやめられるようになりました。申出が受理された月の末日が過ぎると資格を失い、その翌日から国保に加入します。国保の届出は14日以内です。



