国民年金保険料の免除・納付猶予の申請|所得基準と年金額への影響

国民年金保険料の免除・納付猶予の申請|所得基準と年金額への影響のイメージ年金と老後

先に結論

  • 払えないときは全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除・納付猶予を申請できる(令和8年度の保険料は月17,920円)
  • 免除は年金額に反映され、納付猶予と学生納付特例は反映されない。 受給資格期間にはどれも算入される
  • さかのぼれるのは2年1か月前まで。 2年を過ぎると、納めることも申請することもできない
  • 追納は10年以内、3年度目以降は加算額。未納の時効2年とは別のルール。申請先は市区町村の国民年金担当窓口・年金事務所・電子申請

令和8年度の保険料は1か月17,920円。1年分で21万円を超えます。払うのが難しいとき、 未納にするのではなく免除や納付猶予を申請できます。 日本年金機構の資料から整理します。

免除は4段階、それぞれ年金額への反映が違う

窓辺に並んだ土の量が違う4つの鉢に、白文鳥のみぞれが水をやり、桜文鳥のしぐれが鉢を支えている

免除の区分と年金額への反映(全額納付を8分の8とした場合)

  • 全額免除:納付0円 → 反映は 2分の1(8分の4)
  • 4分の3免除:納付4,480円 → 8分の5
  • 半額免除:納付8,960円 → 8分の6
  • 4分の1免除:納付13,440円 → 8分の7(納付額はいずれも令和8年度)

全額免除でも、年金額はゼロになりません。 基礎年金の給付にかかる費用の2分の1を国庫(税金)が負担しているためで、全額免除の期間も、この国庫負担の分が年金額に反映されます(平成21年3月分までの全額免除期間は3分の1)。 40年すべて納付なら老齢基礎年金は年847,300円、40年すべて全額免除なら年423,650円です (令和8年度、昭和31年4月2日以後生まれの方)。

ただし一部免除は、承認されただけでは終わりません。減額された保険料を納付する必要があります。 納めないと、その期間は未納と同じ扱いになり、追納もできません。

未納・免除・猶予で、将来の年金がどう変わるか

期間の種類受給資格期間への算入年金額への反映障害・遺族基礎年金の受給資格期間への算入
納付ありありあり
全額免除ありあり(2分の1)あり
一部免除ありあり(8分の5〜8分の7)あり
納付猶予ありなしあり
学生納付特例ありなしあり
未納なしなしなし

未納だけが3つとも「なし」。納付猶予と学生納付特例は、年金額の列だけが「なし」です。

みぞれ
みぞれ

猶予でも障害年金の対象になるなら、とりあえず猶予でいいのかな。

しぐれ
しぐれ

いざというときの備えは同じでも、老後に受け取る額は別の話になります。まず猶予で止血して、 余裕が出たら追納する。この2段構えで考えると、迷いが減ります。

所得の基準

前年所得が、次の計算式の金額の範囲内であることが条件です。

区分所得基準
全額免除・納付猶予(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
4分の3免除88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額免除128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の1免除168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
学生納付特例128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等

障害者・寡婦・ひとり親は基準額が変わります。令和8年度分(令和8年7月〜令和9年6月)の審査に 使うのは令和7年中の所得。学生納付特例だけは年度が4月〜翌年3月です。

「誰の所得」を見るかは、制度ごとに違う

制度本人配偶者世帯主
免除(全額・一部)見る見る見る
納付猶予見る見る見ない
学生納付特例見る見ない見ない

親の所得が高くて免除が通らない場合でも、50歳未満なら世帯主の所得審査がない納付猶予に 届くことがあります。

所得が基準を超えていても、通ることがある

失業・倒産・事業の廃止があったときは、失業等した方の前年所得にかかわらず免除・納付猶予を 受けられる特例があります。「雇用保険被保険者離職票」などの書類が必要です。震災・風水害等で被災した 方も同様です。ただし前年所得を問われないのは本人の分だけ。世帯主や配偶者は所得要件を 満たしているか、特例に該当している必要があります。

納付猶予と学生納付特例

納付猶予の対象は20歳以上50歳未満の方。学生納付特例の対象は大学・短期大学・高等専門学校・ 専修学校・各種学校などに在学する方で、夜間・定時制課程や通信課程も含まれます。 学生納付特例では、 家族の所得の多寡は問われません。どちらも受給資格期間には算入され、障害・遺族基礎年金の要件の 対象期間にもなります。ただし、追納しない限り年金額には反映されません。

申請が遅れると、障害基礎年金が受けられないことがある

日本年金機構は、申請が遅れると申請日前に生じた不慮の事故や病気による障害について、障害基礎年金を 受け取ることができない場合があるとしています。あとから申請しても、障害基礎年金の保険料納付 要件には算入されません。

さかのぼれるのは、2年1か月前まで

納付期限は法令で納付対象月の翌月末日と定められています。

保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1カ月前までの期間)について、さかのぼって免除等を申請することができます。(学生納付特例も同様です)

日本年金機構「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間」より。同じページには 「納付期限から2年を経過すると時効により免除の申請ができません」ともあります。複数年度分は 年度ごとに申請書が要ります。

未納の「2年」と、追納の「10年」は別のもの

さかのぼれる期間何をするための期間か
未納分の納付(時効)納付期限から2年未納の保険料をそのまま納める
免除等の申請申請時点から2年1か月前まで過去の期間について承認を受ける
追納承認された月の前10年以内承認を受けた期間の保険料を後から納める

10年さかのぼれるのは、先に免除等の承認を受けている期間だけです。「あとで追納すればいい」は、 申請を出してある人にしか使えません。

追納:10年以内、ただし3年度目以降は加算あり

承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合、当時の保険料額に 経過期間に応じた加算額が上乗せされます。令和8年度中に追納するなら、全額免除・納付猶予・ 学生納付特例の期間の追納額は、平成28年度の月分が16,850円、令和7年度の月分が17,510円です。令和6年度分と 令和7年度分に追納加算額はありません。 日本年金機構は、1年間分追納すると全額免除の期間なら 年間で約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間なら年間で約2万円増えると説明しています。

追納が使えなくなる条件

  • 老齢基礎年金を受け取ることができる方は、追納できません
  • 一部免除の期間は、減額された一部保険料が納付されていなければ追納できません
  • 原則古い期間から。免除と猶予・学特がどちらもある方は年金事務所に相談を
  • 納付書は口座振替・クレジットカードでは支払えません

追納した保険料は、全額が社会保険料控除の対象です。申告のしかたは 保険料控除申告書の書き方にまとめています。

申請できる場所と、毎年度の手続き

免除・納付猶予の申請先

  • 住所地の市(区)役所・町村役場の国民年金の担当窓口、または年金事務所(郵送可)
  • 電子申請。「ねんきんネット」の画面上で申請書を作ることもできる
  • 学生納付特例は、代行事務の許認可を受けていれば在学中の学校でも申請できる
  • 追納の申込みだけは年金事務所。街角の年金相談センターでは手続きできない

所得証明は原則不要です。ただし本人・配偶者・世帯主のうち、前年の所得を確定申告も年末調整も していない人がいる場合は、先に市区町村で住民税の申告をしてから出します。

申請は原則として毎年度必要です。全額免除・納付猶予の承認を受けた方は「継続審査」の対象に なりますが、失業等による特例免除の承認を受けた方は翌年度もあらためて申請が必要です。

申請する前に、別枠の免除を確かめる

そもそも別の制度に該当していることがあります。こちらは年金額の扱いが有利です。

制度対象年金額への反映
産前産後期間の免除出産した第1号被保険者。出産(予定)日の属する月の前月から4か月間(多胎は3か月前から6か月間)納付したものとして反映
育児免除(令和8年10月〜)1歳になるまでの子を養育する第1号被保険者の実父母・養父母。実母は産前産後免除に続く9か月間、実父・養父母は最大12か月間同上

令和8年10月に始まる育児免除で、見落としやすいこと

  • 申請ではなく届出。所得要件はありません
  • すでに免除・納付猶予・学生納付特例が承認されている期間も、届出すれば育児免除期間になる(納付済みの保険料は充当または還付)
  • 夫婦とも第1号被保険者なら夫婦ともに対象。第2号・第3号被保険者は対象外

未納のまま放置するリスク

未納のデメリット

  • 老齢基礎年金の額にまったく反映されない
  • 受給資格期間(10年)にも算入されない
  • 障害基礎年金・遺族基礎年金の対象にならない場合がある
  • 督促状で指定した期限より後に納付すると、延滞金が発生する

障害基礎年金・遺族基礎年金には、保険料の納付要件があります。原則は、初診日または死亡日がある月の 前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることです。

3分の2に満たなくても、初診日または死亡日が令和18年3月31日までで、その日に65歳未満であれば、 前々月までの直近1年間に未納がなければ要件を満たします(特例)。

つまり支給されないのは、3分の2に満たず、かつ特例も使えない場合です。直近1年間に未納がある場合や、 65歳以上の場合がこれに当たります。判定は初診日・死亡日の前日までの納付状況で行うため、 病気やケガのあとから納めても間に合いません。この判定に免除期間は「納めた側」として入ります。

まとめ

  • 全額免除でも年金額の2分の1相当は反映される(40年全額免除なら年423,650円)
  • 納付猶予・学生納付特例は年金額に反映されない(追納しない限り)
  • 見られる所得は、免除が世帯主まで、納付猶予が配偶者まで、学生納付特例は本人だけ
  • さかのぼれるのは2年1か月前まで。未納の時効2年と追納の10年は別のルール
  • 令和8年10月から育児免除制度が始まる。所得要件なしで、納付したものとして反映される

「払えないから未納」ではなく、「払えないから申請」が選べます。放っておくと消えるのは、 納める権利のほうです。

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よくある質問

保険料を未納のまま放置するのと、免除を申請するのでは何が違いますか?

未納のままだと老齢基礎年金の額にまったく反映されず、万一の際の障害基礎年金・遺族基礎年金を受け取れなくなる可能性もあります。免除・納付猶予が承認されれば、保険料を納めていなくても一定の要件を満たした期間として扱われ、障害・遺族年金の対象にもなります。

免除の申請は一度すれば、その後もずっと有効ですか?

原則として毎年度の申請が必要です。ただし全額免除または納付猶予の承認を受けた方が翌年度以降も引き続き希望する場合は、継続して申請があったものとみなす「継続審査」の対象になることがあります。失業等による特例免除の承認を受けた方は、翌年度もあらためて申請が必要です。

納付猶予は年金額に反映されますか?

反映されません。納付猶予はあくまで「猶予」であり、追納しない限り、その期間は年金額の計算に加算されません。ただし受給資格期間(10年)には算入されます。

追納するとどのくらいお得ですか?

日本年金機構は、1年間分追納すると老後の年金が全額免除の期間で年間約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間で年間約2万円増えると説明しています。ただし承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。

過去の分をさかのぼって申請できますか?

保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1カ月前までの期間)まで、さかのぼって申請できます。2年を過ぎると時効により、納付することも免除を申請することもできなくなります。

免除の申請はどこでできますか?

住所地の市(区)役所・町村役場の国民年金の担当窓口、またはお近くの年金事務所です。郵送でも提出できます。電子申請も用意されています。学生納付特例は、在学中の学校が代行事務の許認可を受けている場合、学校でも申請できます。