結論(6行)
- 住民税非課税世帯は、世帯の全員が、住民税の均等割・所得割の両方がかからない世帯
- 給与だけの単身者は、令和8年度分で年収およそ103万〜110万円以下(令和7年の年収。級地区分で前後する)
- 65歳以上で年金だけの単身者は、年金収入およそ148万〜155万円以下(令和8年度分・9年度分とも同じ)
- 基準は 扶養親族の人数(16歳未満の子も数える)と、お住まいの地域の 級地区分 で決まる
- 非課税になると、高額療養費の上限額や保育料の軽減など、ほかの支援にも連動する
- 令和9年度分(令和8年の年収)は、給与だけの単身者でおよそ112万〜119万円以下に上がる
「住民税非課税世帯」という言葉は、給付金のニュースなどでよく見かけます。 自分の世帯が当たるのか、年収いくらまでなら当たるのかを、国の計算式と自治体の案内で確かめます。
住民税非課税世帯とは:世帯の全員が非課税
住民税は、定額負担の均等割と、所得に応じた所得割の2つでできています。
非課税の2段階
- 均等割非課税 — 均等割(定額部分)がかからない。基準がより厳しい
- 所得割非課税 — 所得割(所得に応じた部分)がかからない。均等割は課税されることがある
一般に「住民税非課税世帯」という場合は、均等割・所得割の両方が非課税になる人だけで、世帯の全員ができている世帯を指します。 住民税は一人ひとりにかかる税なので、「世帯」で見るときは、世帯にいる人を一人ずつ判定します。
- 世帯主が非課税でも、同じ世帯に住民税がかかる人が1人でもいれば、非課税世帯には当たりません
- 江戸川区の給付金の案内では、同居しているかどうかではなく、住民票上の世帯の構成で判定するとしています
- 同じ案内では、世帯の全員が、住民税のかかる別の世帯の人の扶養に入っている場合を、給付金の対象外の例として挙げています
給付金ごとの細かい扱いは、その給付を行う市区町村の案内で決まります。
年収いくらまで?扶養の人数別の目安
正確な金額は級地区分によって変わるため、自分の市区町村の基準で確かめる必要があります。 ここでは目安をつかむために、ある自治体(大阪府泉佐野市)の基準を例として示します。
泉佐野市の「非課税基準」のページは、前年の所得について次の算式を示しています。
- 均等割がかからない人 … 32万円 ×(扶養親族等の人数+1)+ 10万円 + 19万円(扶養親族がいる場合)以下
- 所得割がかからない人 … 35万円 ×(扶養親族等の人数+1)+ 10万円 + 32万円(扶養親族がいる場合)以下
この所得の基準を、給与収入だけの人の年収に直したのが次の表です。年収への換算は編集部の試算で、 国税庁が示す給与所得控除(令和7年分は収入190万円まで65万円、令和8年分・9年分は220万円まで74万円)を当てています。 令和9年度分は、住民税の給与所得控除が所得税と同じ形で74万円に上がる前提です。
| 扶養親族の人数 | 所得の基準(均等割/所得割) | 令和8年度分(令和7年の年収)均等割/所得割 | 令和9年度分(令和8年の年収)均等割/所得割 |
|---|---|---|---|
| 扶養なし(単身) | 42万円/45万円以下 | 107万円/110万円以下 | 116万円/119万円以下 |
| 1人 | 93万円/112万円以下 | 158万円/177万円以下 | 167万円/186万円以下 |
| 2人 | 125万円/147万円以下 | 190.4万円未満/221.6万円未満 | 199万円以下/221.6万円未満 |
| 3人 | 157万円/182万円以下 | 236万円未満/271.6万円未満 | 236万円未満/271.6万円未満 |
| 4人 | 189万円/217万円以下 | 281.6万円未満/321.6万円未満 | 281.6万円未満/321.6万円未満 |
非課税世帯になるかを見るときは、左側の「均等割」の数字のほうを使います。 両方が非課税になって、はじめて非課税世帯の条件を満たすからです。
扶養親族の人数には、配偶者(同一生計配偶者)と、16歳未満の子も入ります。 16歳未満の子は住民税の扶養控除の対象ではありませんが、非課税の判定では人数に数えます(西宮市の案内では「年少扶養親族を含む」)。 夫婦2人で、夫だけに給与収入があり妻の収入がない世帯なら「1人」の行、夫婦と子2人なら「3人」の行です。
障害者・未成年者・寡婦・ひとり親の人は、前年の合計所得金額が135万円以下なら、均等割・所得割とも かかりません。給与収入に直すと、令和8年度分は204.4万円未満、令和9年度分は209万円以下です(編集部試算)。
住んでいる地域でどれだけ変わるか
所得割の基準額(35万円)は全国共通です。一方、均等割の基準額は、 お住まいの地域の「級地区分」によって変わります。 生活保護基準にもとづく 1級地・2級地・3級地の区分に応じて、基本額・加算額に0.8〜1.0の率が掛けられます (1級地は基本額35万円・加算額21万円)。
代表的な例で、給与だけの人の均等割のラインを比べると次のとおりです(年収への換算は編集部試算)。
| 地域の例 | 均等割の算式(扶養ありの場合) | 単身 令和8年度分/9年度分 | 扶養1人 令和8年度分/9年度分 |
|---|---|---|---|
| 東京都港区(1級地) | 35万円×人数+10万円+21万円 | 110万円/119万円以下 | 166万円/175万円以下 |
| 大阪府泉佐野市 | 32万円×人数+10万円+19万円 | 107万円/116万円以下 | 158万円/167万円以下 |
| 3級地の場合(基本額28万円・加算額16.8万円で計算) | 28万円×人数+10万円+16.8万円 | 103万円/112万円以下 | 147.8万円/156.8万円以下 |
港区の案内は、扶養親族のいない人の給与収入の目安を「令和8年度から110万円以下(令和7年度まで100万円以下)」としています。
この表は一例です
均等割の基準額は級地区分によって変わるため、この表の均等割の数字がそのまま全国共通に 当てはまるわけではありません。 単身の均等割のラインは、1級地なら所得45万円、3級地なら所得38万円で、 令和8年度分の給与収入ではおよそ103万〜110万円の幅があります。お住まいの市区町村のホームページで 「住民税 非課税基準」を検索し、自分の地域の基準で確認してください。所得割の基準(35万円ベース)は 全国共通です。
泉佐野市が公開している早見表のPDFは、給与所得控除の最低保障額が55万円だったころ(令和7年度分まで)の 換算で、単身の所得割非課税を「100万円以下」としています。令和8年度分以降は、上の表のとおり年収の目安が上がっています。
65歳以上で年金だけの人の目安
年金の収入は、給与所得控除ではなく公的年金等控除を差し引いて所得にします。 65歳以上で年金収入が330万円未満なら、控除は110万円です(国税庁 No.1600 の速算表)。 所得の基準に110万円を足すと、年金収入の目安になります。
| 地域の例 | 単身 | 配偶者を1人扶養 |
|---|---|---|
| 東京都港区(1級地) | 155万円以下 | 211万円以下(編集部試算) |
| 鹿児島市 | 151.5万円以下 | 201.9万円以下 |
| 大阪府泉佐野市 | 152万円以下(編集部試算) | 203万円以下(編集部試算) |
| 3級地の場合 | 148万円以下(編集部試算) | 192.8万円以下(編集部試算) |
港区の単身の155万円と、鹿児島市の数字は、それぞれの市区の案内に載っている目安です。 ほかは各地域の算式に110万円を足した編集部の試算です。
- 令和8年度分も9年度分も同じです。 令和8年度の税制改正大綱でも、公的年金等控除の最低保障額は変わっていません。非課税の基準額(45万円など)も、令和7年12月時点で変わっていません
- 夫婦で年金を受け取っている世帯は、配偶者も自分の年金で非課税である必要があります。 港区なら、夫の年金が211万円以下でも、妻の年金が155万円を超えれば妻に住民税がかかり、非課税世帯には当たりません
- 65歳未満で年金だけの単身者は控除が60万円なので、港区の案内では年金収入105万円以下が目安です
- 年金のほかに給与やパートの収入がある人は、この表は当てはまりません。お住まいの市区町村の基準と試算で確かめてください
非課税になる所得の計算式
非課税になる合計所得金額の基準
- 均等割の基準 = 基本額 ×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の合計数)+ 10万円
+ 加算額(扶養親族等がいる場合のみ)
- 所得割の基準 = 35万円 ×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の合計数)+ 10万円
+ 32万円(扶養親族等がいる場合のみ)
同じ扶養人数でも、住んでいる場所によって均等割の非課税ラインが変わります。
令和9年度分から、非課税ラインが上がる
ここが今年いちばんの変化です。総務省の資料には、次の内容が示されています(表形式の資料を 文章として整理したものです)。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 給与所得控除の最低保障額 | 65万円 | 74万円 |
| 基本額等(基礎控除相当) | 45万円 | 45万円(変更なし) |
| 非課税ライン(単身者) | 110万円 | 119万円 |
適用は令和9年度分の個人住民税から。出典:総務省「令和8年度地方税制改正(案)について」
何が変わるか
- 単身・扶養なしの人の 所得割非課税ラインが、給与収入110万円以下から119万円以下に上がる
- 根拠は基礎控除相当額(45万円・据え置き)+給与所得控除の最低保障額(65万円→74万円)
- 適用は 令和9年度分の個人住民税から(令和8年度分にはまだ反映されない)
- 引上げ額9万円のうち 5万円は2年間の時限措置。ほかの改正がなければ、時限措置が終わったあとの単身のラインは114万円(45万円+69万円)になる(編集部試算)
- 上がるのは給与の控除なので、年金だけの人の目安は変わらない
非課税限度額そのもの(45万円などの基本額)は、総務省の資料では「必要な対応を検討する」とされ、令和7年12月時点では変わっていません。
非課税ラインが上がると、これまで課税対象だった人の一部が、新たに非課税世帯に 該当するようになります。給付金の対象範囲や、保育料の軽減対象にも 波及する可能性があります。ただし適用は令和9年度分からなので、今年度(令和8年度)の 住民税にはまだ反映されません。
前年の所得で決まる
住民税は、前年(1月〜12月)の所得をもとに、その年度分が計算されます。
今年の収入が減っても、すぐには反映されません
年の途中で失業・退職して収入が減っても、今年度の住民税は前年の所得で計算されたままです。 非課税世帯になるとしても、それは翌年度からです。逆に、今年から収入が増えた人が 「今年はまだ非課税のはず」と思っていても、実際は前年の所得次第です。
自分が非課税かどうかの確かめ方
港区の案内では、住民税が非課税になっても、本人への通知は行われません。 通知が来ないので、「来ていない=非課税」とも言い切れません。
- 市区町村で 所得・課税証明書(非課税証明書) を取ると、課税か非課税かが書かれている(名前と取り方は市区町村ごとに案内がある)
- 世帯として当たるかは、世帯の全員分を確かめる
- 多くの市区町村が、ホームページに「住民税 非課税基準」の算式や早見表を載せている
非課税世帯になると連動する主な支援

住民税の課税状況は、ほかの制度の判定基準としても使われています。
連動する可能性がある主な支援
- 国民健康保険料の軽減(均等割・平等割の7割・5割・2割軽減。判定は住民税の課税状況ではなく、法令で定める世帯の所得基準で別に行われるため、非課税世帯と一致するとは限らない)
- 高額療養費の自己負担限度額(住民税非課税の区分は上限額が低く設定される)
- 保育料(住民税額を基準に決まる自治体が多い)
- 給付金(住民税非課税世帯を対象にした給付が実施されることがある)
高額療養費の記事でも触れたとおり、医療・介護・教育など 複数の制度が住民税の課税状況を基準にしています。非課税かどうかは、思っている以上に 広い範囲に影響します。
まとめ
- 住民税非課税世帯は、世帯の全員が均等割・所得割の両方とも非課税になる世帯
- 基準は扶養人数(16歳未満の子も数える)と地域の級地区分で決まる。所得割の基準(35万円)は全国共通
- 給与だけの単身者の目安は、令和8年度分で年収およそ103万〜110万円以下(級地区分で前後する)。令和9年度分はおよそ112万〜119万円以下に上がる
- 65歳以上で年金だけの単身者は、年金収入およそ148万〜155万円以下。令和9年度分も変わらない
- 住民税は前年所得ベース。今年の収入減はすぐには反映されない
- 非課税世帯になると、高額療養費・保育料などほかの支援にも連動する(国保料の軽減は別の所得基準で判定)
関連記事
- ふるさと納税の限度額は住んでいる場所で変わるのか|名古屋市だけ約3%少なくなります
- 源泉徴収票の見方|どこを見れば手取りと税額が分かるか
- 【2026年】年収の壁は178万円へ|何がどう変わったのかを全図解
- 限度額適用認定証はまだ必要です|マイナ保険証だけでは足りない場合 — 非課税世帯の方は、入院前に申請が要ります
- 任意継続と国民健康保険はどちらが安いか|退職後の保険料の比べ方
出典
- 総務省「令和8年度地方税制改正(案)について」
- 総務省「地方税制度|個人住民税」
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」(個人所得課税)
- 泉佐野市「非課税基準(個人住民税・森林環境税)」
- 港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」
- 鹿児島市「よくある質問(市民税)」
- 西宮市「市・県民税がかからない人」
- 江戸川区「住民税非課税世帯とは」(令和7年度の給付金の説明資料)
- 大阪市「保険料の軽減・減免」(国民健康保険・令和8年度の軽減判定基準)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1410「給与所得控除」
- 国税庁 タックスアンサーNo.1600「公的年金等の課税関係」
本記事は2026年10月11日時点で公表されている内容に基づいています。正確な基準は、お住まいの市区町村の窓口またはホームページでご確認ください。
よくある質問
住民税非課税世帯は、年収いくらまでですか?
給与だけの単身者なら、令和8年度分(令和7年の年収)でおよそ103万〜110万円以下、令和9年度分(令和8年の年収)でおよそ112万〜119万円以下が目安です。お住まいの地域の級地区分と、扶養親族の人数で変わります。
65歳以上で年金だけの場合、いくらまでなら非課税ですか?
単身なら年金収入およそ148万〜155万円以下が目安です(東京都港区の案内では155万円以下)。公的年金等控除は令和9年度分も変わらないため、この目安も同じです。夫婦の場合は、配偶者も自分の年金で非課税である必要があります。
住民税非課税世帯かどうかは、どこで確認できますか?
最も確実なのは、お住まいの市区町村の窓口や公式ホームページで「非課税基準」を確認することです。基準額(特に均等割)は地域の級地区分によって異なります。
「均等割非課税」と「所得割非課税」はどう違いますか?
均等割は定額の負担、所得割は所得に応じた負担です。一般的に「住民税非課税世帯」という場合は、均等割・所得割の両方が非課税になる、より基準の厳しいほうを指します。所得割だけ非課税で均等割は課税される、という中間の状態もあります。
年の途中で失業して収入が減りました。今年から非課税世帯になりますか?
なりません。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、今年の収入が減っても、今年度の住民税(前年所得ベース)にはすぐには反映されません。反映されるのは翌年度からです。
非課税世帯になると何が変わりますか?
住民税がかからないだけでなく、高額療養費の自己負担限度額の引き下げ、保育料の軽減など、住民税の課税状況を基準にした複数の支援に連動して該当することがあります。国民健康保険料の軽減は、住民税の課税状況ではなく世帯の所得をもとに別の基準で判定されます。



