会社員の確定申告が必要な人・不要な人|20万円以下でも住民税は申告

会社員の確定申告が必要な人・不要な人|20万円以下でも住民税は申告のイメージ税金と控除

先に結論

  • 会社員の大半は、年末調整で所得税の精算が終わるので、確定申告は要りません
  • 申告が必要になる代表は3つです。給与収入が2,000万円を超える人/給与1か所で、副業などの所得(給与・退職所得以外)が合計20万円を超える人/給与を2か所以上から受けている人(一定の条件つき)
  • 副業の「20万円」は、売上ではなく経費を引いた所得で判定します。20万円以下でも、住民税の申告は別に必要です
  • 申告の義務がなくても、申告すると税金が戻るか控除が受けられる人がいます。医療費控除/ふるさと納税(6団体以上・ワンストップ特例なし)/住宅ローン控除の1年目/年の途中で退職して年末調整を受けていない人です。還付申告は翌年1月1日から5年間できます
  • 令和8年分の申告期間は2027年2月16日(火)〜3月15日(月)。基礎控除の引上げは年末調整で反映されていれば、そのための申告は不要です
  • いずれも2026年9月時点で国税庁が公表している内容(令和8年4月1日現在法令等)に基づきます

「確定申告は自営業の人がするもの」と思われがちですが、会社員でも申告が必要な人、申告したほうがいい人はいます。逆に、申告しなくていいのに「しないといけない」と思い込んでいる人も少なくありません。

この記事は、判定の順番を1本にまとめたものです。医療費控除・ふるさと納税・住宅ローン控除・退職した年は、それぞれ別の記事で手順まで書いているので、そちらへ案内します。

  1. まず全体像|3つのグループに分かれる
  2. 判定チェックリスト|上から順に見る
  3. 申告が必要な人を、1つずつ
    1. 給与収入が2,000万円を超える人
    2. 給与1か所で、副業などの所得が20万円を超える人
    3. 給与を2か所以上から受けている人
    4. 同族会社の役員、そのほか
  4. 「20万円以下なら申告不要」の、2つの落とし穴
    1. 住民税の申告は、別に必要
    2. 還付申告をするなら、20万円以下の所得も書く
  5. 年金を受け取っている人の「確定申告不要制度」
    1. それでも申告したほうがいい場合
  6. 申告の義務はないが、したほうが得な人(還付申告)
    1. 年の途中で退職し、年末調整を受けていない
    2. 医療費控除
    3. ふるさと納税(6団体以上、またはワンストップ特例なし)
    4. 住宅ローン控除の1年目
    5. 還付申告は、翌年1月1日から5年間
  7. 令和8年分の申告期間と、遅れたとき
    1. 期間は2027年2月16日(火)〜3月15日(月)
    2. 申告が必要なのに遅れたとき
  8. 令和8年度税制改正で、令和8年分の申告に効くこと
    1. 年末調整で反映されていれば、そのための申告は不要
    2. 基礎控除の額は、副業を含めた「合計所得金額」で決まる
    3. 年金の人は、12月の年金で精算される
  9. まとめ
  10. 関連記事
  11. よくある質問
    1. 会社員で副業の所得が20万円以下なら、何も申告しなくていいですか?
    2. 医療費控除で確定申告をするとき、20万円以下の副業の所得は書かなくていいですか?
    3. 還付申告はいつまでできますか?
    4. 令和8年分の確定申告の期間はいつですか?
    5. 基礎控除が上がった分を受けるために、確定申告は要りますか?
    6. 年金をもらっていて、確定申告不要制度に当てはまります。申告しないほうがいいですか?

まず全体像|3つのグループに分かれる

会社員の確定申告は、次の3つに分けて考えると迷いません。

グループ意味申告しないと
申告が必要な人法律上、確定申告の義務がある期限後申告となり、無申告加算税がかかることがある
申告すると得な人義務はないが、申告すれば税金が戻る(還付申告)戻るはずの税金が戻らないまま
申告しなくていい人年末調整で精算が終わっている何も起きない

国税庁は、給与所得者についてこう書いています。

大部分の給与所得者の方は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了しますから、確定申告の必要はありません。

国税庁タックスアンサーNo.1900より。そのうえで、次の人には申告の義務があるとしています。

しかし、給与所得者であっても次のいずれかに当てはまる人(確定申告をすれば税金が還付される人は除きます。)は、確定申告をしなければなりません。

括弧の中に注目してください。申告すれば税金が戻る人は、義務の対象から外れています。 戻る人は「義務」ではなく「権利」として申告する、という整理です。

判定チェックリスト|上から順に見る

申告が必要か(1つでも当てはまれば、原則として申告が必要)

  • ☐ 給与の年間収入金額が2,000万円を超える
  • ☐ 給与を1か所から受けていて、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える
  • ☐ 給与を2か所以上から受けていて(給与の全部が源泉徴収の対象の場合)、年末調整されなかった給与の収入と、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える(例外あり。後述)
  • ☐ 同族会社の役員やその親族で、その会社から貸付金の利子や賃貸料などを受け取っている
  • ☐ 災害減免法で源泉徴収の猶予などを受けている
  • ☐ 源泉徴収義務のない人から給与を受けている
  • ☐ 退職所得を正規の方法で計算すると、源泉徴収された額より税額が多くなる

義務はないが、申告すると得か(1つでも当てはまれば、申告を検討)

  • ☐ 年の途中で退職し、その年のうちに再就職せず、年末調整を受けていない
  • ☐ 医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満なら、その5%)を超えた
  • ☐ ふるさと納税を6団体以上にした、またはワンストップ特例の申請をしていない
  • ☐ 住宅ローンを組んで家を取得し、住宅ローン控除の1年目である
  • ☐ 災害や盗難で資産に損害を受けた(雑損控除)

どちらにも当てはまらなければ、所得税の確定申告は要りません。ただし、住民税の申告が別に要ることがあります。 ここが最も見落とされるところなので、節を分けて書きます。

申告が必要な人を、1つずつ

給与収入が2,000万円を超える人

給与収入が年2,000万円を超えると、勤務先は年末調整をしません。ほかに所得がなくても、自分で確定申告をして精算します。国税庁No.1901も、給与収入が年間2,000万円を超える人は年末調整を行わないため、ほかの所得がない場合でも確定申告が必要だとしています。

給与1か所で、副業などの所得が20万円を超える人

いちばん多いのがこれです。条件は3つそろって初めて当てはまります。

  • 給与を1か所から受けている
  • その給与の全部が源泉徴収の対象になっている
  • 給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える

「所得」は売上ではありません。 収入から必要経費を引いた額です。フリマアプリでの個人取引、ベビーシッター、暗号資産の売却などは、国税庁No.1906で一般的に雑所得にあたる例として挙げられています。一方、古着や家財など、生活に使っていた物を売った所得は非課税で、申告の対象になりません。

例計算所得税の確定申告
副業の売上30万円、経費12万円所得18万円不要(20万円以下)
副業の売上30万円、経費5万円所得25万円必要(20万円超)

20万円に数えないもの

国税庁No.1900は、次のような所得を20万円の合計に含めないとしています。

  • 特定口座(源泉徴収あり)の株式の売却益で、確定申告をしないことを選んだもの
  • 上場株式等の配当などで、確定申告をしないことを選んだもの
  • 預貯金の利子など、源泉分離課税で課税が終わっているもの

つまり、源泉徴収ありの特定口座で完結している投資は、原則としてこの20万円の判定に入りません。

給与を2か所以上から受けている人

本業のほかにアルバイト先からも給与を受けている場合です。年末調整は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人について行います(国税庁No.2668)。申告書を出していない副業先の給与は、その勤務先では年末調整されないままになります。

国税庁No.1900の条件は、給与を2か所以上から受けていて、給与の全部が源泉徴収の対象になる場合に、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えることです。副業先の給与は「所得」ではなく「収入金額」で数える点が、前の節と違います。

ただし、例外があります。

(注) 給与の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く。)を差し引いた金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の人は、申告は不要です。

国税庁No.1900より。給与の合計が少ない人は、20万円を超えていても申告不要になる場合がある、という定めです。この計算では、基礎控除を差し引きません。 令和8年分で基礎控除が引き上げられても、この150万円の判定には効かない書き方になっています。

みぞれ
みぞれ

年末調整をしてもらっている会社が1つなら、2か所目のバイト代は放っておいていいの?

しぐれ
しぐれ

「1か所で年末調整を受けている」ことと「給与が1か所だけ」は別の話です。2か所目の給与の収入が20万円を超えていれば、まず申告の対象になると考えて、例外に当たるかを確かめる順番で見てください。

同族会社の役員、そのほか

同族会社の役員やその親族が、会社から給与のほかに貸付金の利子や店舗・工場などの賃貸料を受け取っている場合は、20万円以下でも確定申告が必要です(国税庁No.1901)。家族経営の会社で、自宅の一部を会社に貸しているようなケースが当たります。

そのほか、在日の外国公館に勤める人や家事使用人など給与から源泉徴収されない人、退職所得を正規の方法で計算した税額が源泉徴収された額より多くなる人も、申告が必要です。

「20万円以下なら申告不要」の、2つの落とし穴

住民税の申告は、別に必要

所得税の「20万円以下なら申告不要」は、所得税だけの決まりです。住民税にはありません。名古屋市は、こう案内しています。

それに対して、市民税・県民税には、所得税のような申告の省略範囲はなく、原則としてすべての所得を申告する必要があります。

名古屋市「給与所得者で副収入がある場合、市民税・県民税の申告は?」より。横浜市も同じ趣旨で、所得税の確定申告をしなかった場合は住民税の申告をする必要があるとしています。

確定申告をした人は、住民税の申告は要りません。 所得税の確定申告書が住民税の申告を兼ねるためです(国税庁No.1155の注記も、地方税法の規定でそうみなされると書いています)。

副業などの所得所得税の確定申告住民税の申告
20万円超必要確定申告をすれば不要
20万円以下で、確定申告をしない不要必要
20万円以下で、医療費控除などのため確定申告をする申告する(副業分も含める)確定申告をすれば不要

住民税の申告書の出し先や期限は、お住まいの市区町村の案内を確認してください。

還付申告をするなら、20万円以下の所得も書く

医療費控除などで確定申告をするとき、20万円以下の副業の所得を省いてよい、ということにはなりません。 国税庁は質疑応答でこう答えています。

しかし、この規定は確定申告を要しない場合について規定しているものであり、確定申告を行う場合にも、この20万円以下の所得を申告しなくてもよいという規定ではありません。

国税庁No.1900の質疑応答「確定申告を要しない場合の意義」より。申告するなら全部を書く、が原則です。

副業の所得を足すと、そのぶん所得税の計算の元になる所得が増えます。医療費控除で減る税金と、副業分で増える税金が差し引きされるので、戻る額は医療費控除だけで考えた額より小さくなります。

みぞれ
みぞれ

差し引きで戻る額がほとんどなかったら、申告する意味はあるの?

しぐれ
しぐれ

申告書を作る前に、医療費控除の額と副業の所得を並べて、差し引きを一度確かめてください。戻る額だけを見て始めると、副業分を書いた途端に思っていた額と違う、というのがつまずきやすい所です。

年金を受け取っている人の「確定申告不要制度」

親の年金の相談を受ける場面や、定年後も働く人のために書いておきます。公的年金には、給与の20万円ルールとは別の不要制度があります。

平成23年分以後は、その年において公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告の必要はありません。

国税庁No.1600より。条件は2つです。

  • 公的年金等の収入金額が400万円以下(全部が源泉徴収の対象であること)
  • 公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下

生命保険会社などから受け取る個人年金は「公的年金等」に入りません。こちらは「以外の所得」の側に数えます。また、この不要制度の「公的年金等に係る雑所得以外の所得」には給与所得も入ります。年金を受けながら働いて給与も受けている人は、給与所得が20万円を超えるとこの不要制度に当たらず、給与1か所の20万円ルールで判定します(このとき年金の雑所得は「給与・退職所得以外の所得」の側に入ります)。令和7年分の国税庁の手引きでは、給与を1か所から受けていて、公的年金等の収入が80万円(65歳以上の人は130万円)を超える場合が、申告が必要な例として挙げられています。

それでも申告したほうがいい場合

不要制度は「申告しなくてよい」であって、「申告できない」ではありません。国税庁の注記です。

(注1) この場合であっても、例えば、医療費控除や社会保険料控除など各種の所得控除の適用による所得税の還付を受けるための確定申告をすることができます。

同じページには、住民税について次の注記もあります。

(注2) 公的年金等以外の所得金額が20万円以下で確定申告の必要がない場合であっても、住民税の申告が必要な場合があります。

医療費がかさんだ年や、家族の国民健康保険料・介護保険料を本人が払った年は、還付申告を検討する価値があります。

申告の義務はないが、したほうが得な人(還付申告)

義務はなくても、申告しなければ控除が受けられないものがあります。国税庁No.2030は、給与所得者が還付申告をできる例を挙げています。年の途中の退職、住宅ローン控除、医療費控除、寄附金控除などです。

年の途中で退職し、年末調整を受けていない

毎月の源泉徴収は概算なので、年の途中で退職してその年のうちに再就職しないと、所得税が納め過ぎになっていることがあります。同じ年に再就職すれば、原則として新しい勤務先が前職の給与も合わせて年末調整するので、納め過ぎは解消します(国税庁No.1910)。

手順と必要書類は退職した年の確定申告|年末調整されていないと税金が戻るにまとめています。転職した年の年末調整で前職の源泉徴収票が要る理由は、年末調整の紙が配られた日で追いました。

医療費控除

1年間の医療費から保険金などで補てんされた額を引き、さらに10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)を引いた額が控除になります(最高200万円。国税庁No.1120)。たとえば総所得金額等が180万円の人なら、足切りは10万円ではなく9万円(180万円×5%)です。

医療費控除は年末調整では受けられません。 対象になるもの・ならないものは医療費控除の対象になるもの・ならないもの完全リスト、領収書の集め方とワンストップ特例の関係は領収書の箱を開けた夜に書いています。

ふるさと納税(6団体以上、またはワンストップ特例なし)

ワンストップ特例が使えるのは、確定申告が不要な給与所得者で、寄附先が5団体以内の場合に限られます(国税庁No.1155)。6団体以上に寄附した人、特例の申請をしなかった人は、確定申告をしないと控除が受けられません。

もう1つ、見落としやすい決まりがあります。

確定申告を行う方は、ふるさと納税ワンストップ特例の申請が無効となるため、ワンストップ特例の申請をした分も含めて寄附金控除額を計算する必要があります。

国税庁No.1155より。医療費控除などで確定申告をするなら、ワンストップ特例を申請した分も申告書に書き直します。 書き漏らすと、その申告ではその分の控除が受けられません。あとから気づいたときは更正の請求で直せますが、控除を足しても所得税の額が変わらない場合は更正の請求ができず、市区町村への相談になります(同No.1155)。手順はふるさと納税を確定申告でやる手順、特例が無効になる場面はワンストップ特例が使えない人・無効になるケースにあります。

住宅ローン控除の1年目

家を建てた人・買った人にとって、いちばん大事なのがここです。

また、給与所得者は、控除を受ける最初の年分については、上記(1)のとおり、確定申告書を提出する必要がありますが、2年目以後の年分は、年末調整でこの特別控除の適用を受けることができます。

国税庁No.1211-1より。1年目だけは、会社員でも確定申告が必要です。 1年目に申告しておけば、2年目からは年末調整で受けられます。必要書類とつまずく所は住宅ローン控除1年目の確定申告に、制度全体は住宅ローン控除の制度概要と借入限度額に、2年目以降は住宅ローン控除を年末調整でやる方法にまとめています。

1年目は確定申告をする年なので、前の節のとおり、その年のふるさと納税はワンストップ特例の申請をしていても無効になり、同じ申告書に書くことになります。

しぐれ
しぐれ

引き渡しの前に、「入居した翌年の春は確定申告。ふるさと納税の分も一緒に書く」と施主さんへ伝えておくと、翌年の春に慌てずに済みます。

ふるさと納税と住宅ローン控除の関係は、ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できるで詳しく書いています。

還付申告は、翌年1月1日から5年間

還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。

国税庁No.2030より。2月16日を待つ必要はありません。 令和8年分の還付申告なら、2027年1月1日から提出できます。出し忘れに気づいても、5年以内なら出せます。

ただし、源泉徴収された所得税がない人(源泉徴収票の「源泉徴収税額」が0円の人)は、申告しても所得税は戻りません。国税庁No.2030も、この点を明記しています。

令和8年分の申告期間と、遅れたとき

期間は2027年2月16日(火)〜3月15日(月)

国税庁No.2020は、確定申告の期間を次のように書いています。

原則として、その年の翌年2月16日から3月15日までです。

令和8年分に当てはめると、2027年2月16日(火)から3月15日(月)までです。納付の期限も3月15日です。

国税通則法第10条第2項により、期限が日曜日・祝日などに当たるときは翌日が期限になります。2027年3月15日は月曜日なので、延長は起きません。 国税庁が令和8年分の手引きを公表したら、この日付を突き合わせてください。

申告が必要なのに遅れたとき

申告が必要な人が期限を過ぎると期限後申告になり、納める税金のほかに無申告加算税がかかることがあります。税務署の調査の事前通知より前に自主的に申告した場合は、納める税金の5%です(国税庁No.2024)。さらに延滞税もかかります。

期限から1か月以内に自主的に申告し、税金を全額納めているなど、期限内に申告する意思があったと認められる一定の場合は、無申告加算税はかかりません。ただし、過去5年以内に無申告加算税などを課されたことがある人は、この扱いを受けられません。

令和8年度税制改正で、令和8年分の申告に効くこと

令和8年分から、基礎控除が大きく変わりました。確定申告との関係で押さえるのは3つだけです。

年末調整で反映されていれば、そのための申告は不要

国税庁のQ&Aは、給与所得者についてこう答えています。

令和8年12月1日以後の年末調整において、令和8年度税制改正による改正後の控除等が適用されている方は、改正後の控除等の適用を受けるための確定申告は不要です。

国税庁「令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(令和8年5月)Q7-1より。12月の年末調整を受ければ、改正のために申告する必要はありません。 12月の給与で手取りが増える仕組みは令和8年12月の給与だけ手取りが増える理由に、年末調整の書類の変更点は年末調整の書き方2026に書いています。

一方、同じQ&Aは、次の人は確定申告で改正後の控除を受けるとしています。

  • 令和8年の途中で退職し、年末調整を受けていない人
  • 令和8年11月30日以前に最後の給与を受けて年末調整を受けた人(年の途中で海外へ転勤して非居住者になった人、死亡により退職した人、休業・休職して年末までに復職していない人)

どちらも、源泉徴収税額が0円なら、申告しても戻る税金はありません(Q7-1の注)。

基礎控除の額は、副業を含めた「合計所得金額」で決まる

令和8年分・9年分の基礎控除は、合計所得金額によって額が変わります(財務省「令和8年度税制改正の大綱」)。

合計所得金額基礎控除(令和8年分・9年分)
489万円以下104万円(本則62万円+特例42万円)
489万円超 655万円以下67万円(本則62万円+特例5万円)
655万円超 2,350万円以下62万円(本則のみ)

合計所得金額には、給与所得だけでなく副業などの所得も入ります。 給与だけなら489万円以下の人でも、副業の所得を足すと区切りを越え、基礎控除が37万円少なくなることがあります。区切りの前後で何が起きるかは合計所得489万円の崖で、178万円の全体像は年収の壁は178万円へと年収の壁を1枚の表でで説明しています。

年金の人は、12月の年金で精算される

公的年金等は、令和8年12月の年金支払時に、改正後の控除で1年分を精算し、戻る分は年金の支払者から還付されます(同Q&A Q5-1・Q7-1)。

それでも、次の人は確定申告で税金が戻ることがあります。

  • 令和8年12月に年金の支払がなく、12月の精算が行われなかった人(その年に源泉徴収された税額がある場合)
  • 扶養親族などの所得要件が58万円から62万円に引き上げられたことで、新たに扶養控除などを受けられるようになった親族がいる人

改正の年は、タックスアンサーの注記まで読む

2026年9月26日に確かめたところ、扶養控除のタックスアンサー(No.1180)は本文に改正前の「58万円」が残ったまま、令和8年分から適用される金額は62万円以下という注記が付いています。配偶者特別控除(No.1195)は、すでに62万円で書かれています。令和8年分の判定は62万円です。 本文だけを読むと古い数字を拾ってしまうので、注記まで読んでください。

まとめ

  • 会社員の大半は、年末調整で精算が終わるので確定申告は要らない
  • 申告が必要なのは、給与収入2,000万円超、給与1か所で給与・退職所得以外の所得が20万円超、給与2か所以上で一定の条件に当たる人、同族会社の役員で会社から利子や賃貸料を受けている人など
  • 20万円は所得(売上−経費)で判定する。20万円以下でも住民税の申告は別に必要
  • 医療費控除などで申告するなら、20万円以下の所得も含めて書く
  • 年金は、収入400万円以下かつ他の所得20万円以下なら申告不要。それでも還付申告はできる
  • 義務がなくても、年の途中の退職、医療費控除、ふるさと納税(6団体以上・特例なし)、住宅ローン控除1年目は申告すると得。還付申告は翌年1月1日から5年間
  • 令和8年分の申告期間は2027年2月16日(火)〜3月15日(月)
  • 基礎控除の引上げは、年末調整で反映されていれば、そのための申告は不要

「自分は申告が要るのか」は、上の2つのチェックリストで、ほとんど判定できます。申告が必要な人は期限を、得な人は5年の期限を、住民税の申告が要る人は市区町村の案内を、それぞれ手帳に書いておいてください。

関連記事

出典

本記事は2026年9月26日時点で公表されている内容(国税庁タックスアンサーは令和8年4月1日現在法令等)に基づいています。令和8年分の確定申告の手引きは、まだ公表されていません。住民税の申告の扱いと提出先は、市区町村によって異なる場合があります。個別の判断は、所轄の税務署またはお住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

よくある質問

会社員で副業の所得が20万円以下なら、何も申告しなくていいですか?

所得税の確定申告は、給与を1か所から受けていて給与収入が2,000万円以下なら、原則として要りません。ただし住民税には同じ省略がなく、市区町村へ住民税の申告が必要です。20万円は売上ではなく、経費を引いた所得で判定します。

医療費控除で確定申告をするとき、20万円以下の副業の所得は書かなくていいですか?

書く必要があります。国税庁は、20万円以下の規定は確定申告を要しない場合の定めであって、申告するときにその所得を申告しなくてよいという規定ではないとしています。

還付申告はいつまでできますか?

還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。令和8年分なら2027年1月1日から出せます。

令和8年分の確定申告の期間はいつですか?

原則は翌年2月16日から3月15日までなので、令和8年分は2027年2月16日(火)から3月15日(月)までです。期限が日曜・祝日などに当たると翌日に延びますが、2027年3月15日は月曜日なので延びません。

基礎控除が上がった分を受けるために、確定申告は要りますか?

令和8年12月1日以後の年末調整で改正後の控除が適用されていれば不要です。年の途中で退職して年末調整を受けていない人などは、確定申告で適用を受けます。

年金をもらっていて、確定申告不要制度に当てはまります。申告しないほうがいいですか?

申告の義務はありませんが、医療費控除や社会保険料控除などで所得税が戻る場合は、還付を受けるための申告ができます。また、住民税の申告は別に必要になる場合があります。