先に結論
- 扶養する家族がいない人は、上の段だけ書いて出す。 あなたの氏名・個人番号・住所又は居所・生年月日・世帯主の氏名・あなたとの続柄・配偶者の有無。出さないと毎月の税金が乙欄になる
- 配偶者はA欄(あなたの所得900万円以下・配偶者の所得95万円以下のとき)、16歳以上の家族はB欄、16歳未満の子は「住民税に関する事項」欄
- 19〜22歳の子はB欄で、所得62万円以下なら「特定扶養親族」、62万円超100万円以下なら「特定親族」にチェック
- この記事の欄の名前と生年月日は令和9年分の様式(国税庁が公開済み。2026年10月11日に確認)
- 令和8年分は別の注意がある。改正で新しく対象になった家族は「令和8年12月1日 改正」と書いて出し直す
10〜11月に勤務先から配られるのは、たいてい令和9年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です。 来年1年間の毎月の給与から引く所得税を決めるための書類で、年末調整の書き方2026で 触れた基礎控除申告書などとは別の1枚です。
この記事は、自分の場合にどの欄へ何を書くかを先に表で示し、そのあとで判定のしかたを説明します。 国税庁の様式そのものは、令和9年分の様式(PDF)と 記載例(PDF)で見られます。
扶養なしの人の記入例:上の段だけ書いて出す
独身の人や、共働きで配偶者に一定以上の収入がある人など、書く家族がいない人も提出します。 令和9年分の様式には、次の一文があります。
以下の各欄に記載する親族がなく、かつ、あなた自身が障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生のいずれにも該当しない場合には、上記の各欄を記載して給与の支払者に提出してください。
つまり、書くのは上の段だけです。
| 欄の名前(令和9年分) | 書くこと |
|---|---|
| 給与の支払者の名称(氏名)・所在地(住所) | 勤務先の名前と所在地。配られた用紙に印字されていればそのまま |
| 給与の支払者の法人(個人)番号 | 書かない。 受け取った勤務先が書く欄 |
| あなたの氏名(フリガナ) | 自分の氏名 |
| あなたの個人番号 | 自分のマイナンバー。勤務先によっては書かなくてよい場合がある |
| あなたの住所又は居所 | 郵便番号と住所 |
| あなたの生年月日 | 自分の生年月日 |
| 世帯主の氏名・あなたとの続柄 | 自分が世帯主なら自分の氏名と「本人」。親が世帯主なら親の氏名と、あなたから見た続柄(「父」「母」など) |
| 配偶者の有無 | 配偶者がいれば「有」、いなければ「無」に○ |
| 従たる給与についての扶養控除等申告書の提出 | 2か所以上から給与をもらい、ほかの勤務先に「従たる給与についての扶養控除等申告書」を出している人だけ○ |
法人番号と個人番号の扱いは、国税庁の記載例の説明によります。個人番号は 「一定の要件の下、個人番号の記載を要しない場合があります」とされているので、迷ったら勤務先に確かめてください。
あなた自身が障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生に当たる場合は、C欄も書きます。 配偶者がいても、次の表のA欄の条件に当たらなければ、A欄は空けたままで「配偶者の有無」は「有」です。
ケース別:どの欄に何を書くか(令和9年分)
年齢は令和9年12月31日時点で判定します。生年月日は令和9年分の様式に書かれている区分です。
| あなたの家族 | 書く欄 | チェック・書き方 | 年末調整でつく控除 |
|---|---|---|---|
| 扶養する家族がいない | 上の段だけ | 上の表のとおり | ― |
| 配偶者(あなたの所得900万円以下・配偶者の所得95万円以下。配偶者が給与だけなら年収169万円以下) | A 源泉控除対象配偶者 | 氏名・個人番号・生年月日・令和9年中の所得の見積額・住所又は居所 | 配偶者(特別)控除。年末調整では別に「配偶者控除等申告書」を出す |
| 配偶者の所得が95万円超、またはあなたの所得が900万円超 | A欄は空ける | 上の段の「配偶者の有無」は「有」 | 配偶者控除等申告書で判定する |
| 16歳未満の子(平成24年1月2日以後生) | 住民税に関する事項「16歳未満の扶養親族」 | 氏名・個人番号・続柄・生年月日・住所又は居所・所得の見積額 | 所得税の扶養控除はない(住民税の手続のために書く) |
| 16〜18歳の子(平成21年1月2日〜平成24年1月1日生)・所得62万円以下 | B 源泉控除対象親族 | 老人・特定のチェックは付けない | 扶養控除38万円 |
| 19〜22歳の子(平成17年1月2日〜平成21年1月1日生)・所得62万円以下(給与だけなら年収136万円以下) | B | 「特定扶養親族」にチェック | 扶養控除63万円 |
| 19〜22歳の子・所得62万円超100万円以下(給与だけなら年収136万円超174万円以下) | B | 「特定親族」にチェック | 特定親族特別控除。年末調整で「特定親族特別控除申告書」を出す |
| 19〜22歳の子・所得100万円超123万円以下(給与だけなら年収174万円超197万円以下) | B欄には書かない | ― | 年末調整で「特定親族特別控除申告書」を出せば対象になる |
| 16歳以上で所得62万円超(19〜22歳を除く) | どこにも書かない | ― | 扶養控除はない |
| 70歳以上の親(昭和33年1月1日以前生)・所得62万円以下 | B | 同居なら「同居老親等」、別居・施設入所なら「その他」にチェック | 同居老親等58万円/その他48万円 |
| 共働きで、子を配偶者の側で控除する | 自分のB欄には書かない | D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等に、その子を書き、「控除を受ける他の所得者」の列に配偶者の氏名と続柄を書く | 配偶者の勤務先で控除される |
| 家族やあなた自身が障害者 | C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生 | 該当する区分にチェックし、人数と内容を書く | 障害者控除など |
金額の線は、令和9年分の様式の裏面「4 扶養親族等の範囲」と記載例によります。 B欄の「源泉控除対象親族」は、控除対象扶養親族と、特定親族のうち所得の見積額が100万円以下の人です。 そのため、19〜22歳で所得が100万円を超える子は、B欄に書かずに年末調整の書類で控除を受けます。 特定親族特別控除の書き方は基礎控除申告書・配偶者控除等申告書の書き方で解説しています。
D欄の扱いは、様式の裏面に「その扶養親族等の氏名などを『D』欄に記載してください」とあることによります。 同じ家族を夫婦の両方のB欄に書くことはできません(後の節で説明します)。

年収150万円の大学生の子は、どこに書けばいいの?

給与だけなら、年収から74万円を引いた金額が所得の見積額になります。次の記入例で、実際の数字で確かめてみましょう。
令和9年分の記入例(Dさんの家族)
Dさん(会社員・所得900万円以下)のケース。 年齢は令和9年12月31日時点です。
- 妻:パート年収120万円
- 長男:20歳の大学生。アルバイト年収150万円
- 長女:17歳の高校生。収入なし
- 次男:10歳
記入内容
- 妻 … 120万円−74万円=所得46万円。95万円以下なので A欄(源泉控除対象配偶者)。所得の見積額は460,000円
- 長男 … 150万円−74万円=所得76万円。62万円超100万円以下なので B欄に書いて「特定親族」にチェック。所得の見積額は760,000円
- 長女 … 収入なし。16歳以上なので B欄。チェックは付けない。所得の見積額は0円
- 次男 … 16歳未満なので 「住民税に関する事項」の「16歳未満の扶養親族」欄
給与所得控除の74万円は、記載例の参考表(給与136万円→所得62万円、169万円→95万円、174万円→100万円)と同じ引き方です。 年末調整では、妻の分は「配偶者控除等申告書」、長男の分は「特定親族特別控除申告書」が別に要ります。
令和8年分の年末調整:年初に出した申告書は古い

ここからは、いま進んでいる令和8年分の年末調整の話です。令和9年分とは別に、 令和8年1月に出した申告書を出し直す必要がある人がいます。
扶養控除の対象になるには、扶養している親族の合計所得金額が一定額以下である必要があります。 この上限が令和8年分から上がりました。
| 年分 | 所得要件 | 給与収入だけの場合 |
|---|---|---|
| 令和6年分まで | 48万円以下 | 103万円以下 |
| 令和7年分 | 58万円以下 | 123万円以下 |
| 令和8年分 | 62万円以下 | 136万円以下 |
136万円という数字は、給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に上がったことから出ています。 国税庁は次のように説明しています。
その年の給与収入が136万円以下であれば、給与所得控除額が74万円ですので、これを差し引くと、合計所得金額が62万円以下となり、扶養控除を受けられます。
国税庁タックスアンサーNo.1180のQ9より。去年「年収130万円くらいだから扶養には入れられない」と 言われた家族も、今年は対象になる可能性があります。 基準が136万円まで上がっているからです。
ここが令和8年分でいちばん間違えやすいところです。扶養親族等の所得要件の改正は、 令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます。 11月までの毎月の 源泉徴収事務は、改正前のままで動いています。
つまり、令和8年1月に提出した扶養控除等申告書は、改正前の58万円という基準で書かれています。 放っておくと、今年から対象になった家族が年末調整に乗りません。国税庁は 「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」で、書き方まで示しています。
なお、この改正により新たに扶養控除等の対象となる扶養親族等を扶養控除等申告書に記載する際には、扶養控除等申告書の「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載してください。
同Q&AのQ2-1より。提出の期限も同じ答えの中にあります。原則は令和8年12月1日以後、最初に 給与の支払を受ける日の前日まで。 ただし「年末調整を行う時までに申告書の提出があれば、その申告に 基づいて年末調整を行うことができます」とされています。
令和8年分の様式の裏面は、改正前の「58万円」のまま
同じQ&Aには、次の注意書きが添えられています。
令和8年分の扶養控除等申告書の様式裏面の注意事項等が改正前の内容となっている場合がありますのでご注意ください。
私は2026年9月18日に、国税庁のサイトで令和8年分の様式(PDF)を開いて確かめました。 裏面の「扶養親族等の範囲」は、「58万円以下(給与所得だけの場合は、給与の収入金額が123万円以下)」の ままでした。裏面の数字で判定しないでください。
令和9年分の様式の裏面は、62万円以下(136万円以下)に直っています(2026年10月11日時点)。

12月に施行されるのに、1年分さかのぼって使えるの?

所得税は1年単位で決まるので、12月の年末調整で1年分を計算し直す形になります。だから、 そこに間に合うように出すかどうかが分かれ目になります。
扶養に入れられるかは、4つの要件で決まる
判定するのはその年の12月31日の現況です。国税庁は扶養親族の要件を次の4つとしています。
扶養親族の4要件
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)、または里子・養護を委託された老人であること
- 納税者と生計を一にしていること
- 年間の合計所得金額が62万円以下であること(令和8年分・令和9年分)
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと
「生計を一にする」は、同居という意味ではありません。
「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではありません。例えば、勤務、修学、療養等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
国税庁タックスアンサーNo.1180のQ1より(所得税基本通達2-47)。仕送りをしている地方の親も対象に なります。国税庁は、勤務先が確認する立場から銀行振込や現金書留の控えの提示を受けることを 勧めています。控えは残しておいてください。
遺族年金は「所得」に入らない
合計所得金額には、法令で非課税とされる所得は含まれません。 遺族厚生年金や遺族基礎年金は 非課税です。国税庁の回答例は、遺族厚生年金が120万円程度ある母のケースです。ほかに所得がなく、 他の人の扶養控除の対象にもなっていなければ、扶養控除の対象にできるとしています。
控除額は年齢と同居の有無で変わる
所得要件を満たしたうえで、扶養親族の年齢と同居の状況によって控除額が変わります。 この金額自体は今回の改正で変わっていません。
| 区分 | 12月31日時点の年齢 | 令和8年分での生年月日 | 令和9年分での生年月日 | 控除額 |
|---|---|---|---|---|
| 一般の控除対象扶養親族 | 16歳以上(下記以外) | 平成23年1月1日以前 | 平成24年1月1日以前 | 38万円 |
| 特定扶養親族 | 19歳以上23歳未満 | 平成16年1月2日〜平成20年1月1日 | 平成17年1月2日〜平成21年1月1日 | 63万円 |
| 老人扶養親族(同居老親等以外) | 70歳以上 | 昭和32年1月1日以前 | 昭和33年1月1日以前 | 48万円 |
| 老人扶養親族(同居老親等) | 70歳以上・同居 | 昭和32年1月1日以前 | 昭和33年1月1日以前 | 58万円 |
生年月日はそれぞれの年分の様式の裏面に書かれているものです。年齢の区分は、この生年月日で 確かめてください。 誕生日が1月1日の人は前の年に年齢が上がる扱いになるため、単純な引き算だと 1年ずれます。
特定扶養親族と特定親族特別控除の違い
どちらも19歳以上23歳未満が対象ですが、範囲が違います。
- 特定扶養親族(この記事の対象):親族の合計所得金額が62万円以下。控除額は63万円で固定
- 特定親族特別控除:親族の合計所得金額が62万円超123万円以下。所得に応じて控除額が段階的に減る
大学生年代の子がアルバイトなどで62万円をわずかに超えた場合、扶養控除ではなく特定親族特別控除の 対象になります。こちらは基礎控除申告書・配偶者控除等申告書の書き方 で解説しています。
同居老親等とは
老人扶養親族のうち、納税者本人または配偶者の直系尊属(父母・祖父母など)で、 納税者またはその配偶者のいずれかと同居を常況としている人が「同居老親等」です。 仕送りだけで別居している親は、「同居老親等以外」(48万円)になります。
判断に迷うのが、親が家にいない期間がある場合です。国税庁は取扱いを分けています。
| 状況 | 同居老親等の「同居」に当たるか |
|---|---|
| 病気の治療のための入院。結果として1年以上の長期になった場合も含む | 当たるものとして取り扱って差し支えない |
| 老人ホーム等へ入所している | その老人ホームが居所となり、同居しているとはいえない |
同じ70歳以上の親でも、入院か施設入所かで、控除額に10万円の差がつきます。
令和8年分の記入例(Bさんの家族)
Bさん(会社員)のケース
- 19歳の大学生の子(アルバイト収入あり、年収80万円)
- 72歳の同居の母(収入なし)
記入内容
- 子:年収80万円 → 給与所得控除74万円を引いた合計所得金額は6万円 → 62万円以下なので扶養親族に該当。
年齢19歳(12月31日時点)なので 特定扶養親族・控除額63万円 を記入
- 母:収入なし → 扶養親族に該当。70歳以上・同居なので 同居老親等・控除額58万円 を記入
このケースの扶養控除の合計は 63万円+58万円=121万円 になります。 令和9年分の申告書でも、年齢と所得が同じなら、子は「特定扶養親族」、母は「同居老親等」にチェックします。
書き間違えやすいところ
16歳未満の子は「住民税に関する事項」欄に書く
16歳未満は所得税の扶養控除の対象ではないので、上の欄に書いても控除は増えません。ただし この申告書は、個人住民税の「給与所得者の扶養親族申告書」と統合された1枚の様式です。
給与の支払を受ける人は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「住民税に関する事項」欄に年齢16歳未満の扶養親族に該当する旨を記載することになります。
総務省より。同じ欄には、マイナンバー(個人番号)の記載も求められます。
同じ家族を、夫婦の両方に書かない
共働きで、同じ子を夫婦それぞれの申告書に書くことはできません。国税庁の質疑応答事例です。
同じ世帯に所得者が2人以上いる場合には、同一人をそれぞれの所得者の控除対象配偶者や扶養親族として重複して申告しない限り、どの所得者の扶養親族等としても差し支えありません。
重複しなければ、分け方は自由です。 郷里の親を兄弟で援助している場合も同じで、 均等に送金していても、扶養控除の対象にできるのは兄弟のうち1人だけです。
見込みが変わったとき、年の途中で就職・退職したとき
申告書に書くのは「令和8年中の所得の見積額」(令和9年分なら令和9年中の見積額)です。実際の年収が見込みとずれることがあります。
変わったときにすること
- 家族の収入が増えて62万円を超えた/減って62万円以下になった … 異動申告書を出すか、申告書の該当項目を直す。判定は12月31日の現況なので、年末調整の前に直せば間に合う
- 自分が年の途中で就職した … 就職後、最初に給与の支払を受ける日の前日までに提出する。前職があれば、前の勤務先の源泉徴収票を添付する
- 自分が年の途中で退職し、年末調整を受けていない … 令和8年度改正後の控除は適用されていないため、確定申告をしないと受けられない
休業や休職をして令和8年末までに復職していない人も、令和8年11月30日以前に最後の給与を 受けていれば確定申告が必要です。ただし源泉徴収票の「源泉徴収税額」が0円なら、確定申告を しても還付される税金はありません。
欄の名前が「源泉控除対象親族」に変わった
令和8年分の記載例には、次の注意書きがあります。
令和8年分の扶養控除等申告書においては、記載事項が「控除対象扶養親族」から「源泉控除対象親族」に改正されていますので、記載漏れがないようご注意ください。
令和7年分以前の書類を見ながら書き写すと、欄を取り違えます。 「源泉控除対象親族」の欄(B欄)に書くのは、控除対象扶養親族 または特定親族のうち、所得の見積額が100万円以下の人です。令和9年分の様式の裏面では、給与だけの場合は 給与の収入金額174万円以下とされています。16歳未満の子はここではありません。
前年と変わらない人は「簡易な申告書」で出せる
令和9年分の様式の裏面には、令和8年分の申告書に書いた内容から異動がない場合は、 「異動がない」旨を書いた申告書(簡易な申告書)を出せると書かれています。
簡易な申告書の条件と書き方
- 令和8年分として同じ勤務先に出した申告書から、書く内容が変わらないこと
- 書くのは「あなたの氏名」「あなたの住所又は居所」「あなたの個人番号」の欄。前年から異動がない旨を余白などに書く
- 国税庁の記載例は「勤務先の指示に基づき」としている。使えるかどうかは勤務先に確かめる
家族の所得の見込みが変わった、子が16歳や19歳になって欄やチェックが変わる、といった場合は 「異動がない」に当たりません。令和8年分の年末調整で新しく扶養に入った家族がいる人も、 令和9年分は全部を書くほうが取り違えが起きません。
「扶養親族等申告書」は、年金を受け取る人の別の書類
名前が似ていますが、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」は別の書類です。 老齢年金や退職年金を受け取る人が、配偶者や扶養親族の控除を年金の源泉徴収に反映させるために、 日本年金機構に出します。会社員が勤務先に出す扶養控除等申告書とは、出す先も様式も違います。
日本年金機構の2026年9月3日のプレスリリースによると、令和9年分の扶養親族等申告書は 電子申請が2026年9月3日から順次始まり、紙の申告書は9月7日から順次送られています。 紙の提出期限は年金額によって分かれ、2026年10月20日または11月30日です。
書き方は、日本年金機構の 令和9年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書のページと、 紙の提出方法のページで案内されています。 年金と確定申告の関係は年金受給者の確定申告不要制度で書いています。
提出先と期限、変わったときの異動申告
いつ、どこへ出すか
- 提出先は勤務先(給与の支払者)。 税務署に自分で送るものではない
- 期限はその年の最初に給与の支払を受ける日の前日まで。令和9年分なら、令和9年の最初の給与の支払を受ける日の前日まで。中途就職なら、就職後最初に給与の支払を受ける日の前日まで
- 記載内容に異動があったら、その異動の日後、最初に給与の支払を受ける日の前日までに異動の内容を書いた申告書を出す
- 2か所以上から給与をもらっている人は、いずれか1か所にだけ提出できる
この申告書は、本来は給与の支払者を経由して税務署長と市区町村長へ提出するものです。 ただし国税庁の案内では、特に提出を求められた場合以外は提出の必要がありません。 給与の支払者が保管しておくことになっています(所得税法施行規則第76条の3)。
出さないとどうなるか
毎月の給与から引かれる所得税は、「源泉徴収税額表」で決まります。この表には甲欄と乙欄があります。
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与については「甲欄」を、その他の人に支払う給与については「乙欄」を使って税額を求めます。
国税庁タックスアンサーNo.2511より。甲欄は扶養親族等の数に応じて使う欄が分かれますが、 乙欄にその区分はありません。国税庁は、この申告を行わない場合について 「月々(日々)の源泉徴収の際に受けることのできる諸控除が受けられず、また年末調整も 行われないことになります」としています。払いすぎた税金を取り戻すには、自分で確定申告を することになります。扶養する家族がいない人も、上の段だけ書いて出す理由はここにあります。
まとめ
- 扶養する家族がいない人は、上の段(氏名・個人番号・住所又は居所・生年月日・世帯主・配偶者の有無)だけ書いて出す
- 配偶者はA欄、16歳以上の家族はB欄、16歳未満の子は「住民税に関する事項」欄、配偶者の側で控除する家族はD欄
- 19〜22歳の子は、所得62万円以下なら「特定扶養親族」、62万円超100万円以下なら「特定親族」にチェック。100万円超はB欄に書かない
- 令和9年分は国税庁が様式を公開済み。裏面の金額も62万円に直っている
- 令和8年分は、新しく対象になった家族を「令和8年12月1日 改正」と書いて出し直す。令和8年分の様式の裏面は改正前の58万円のまま
- 入院は同居に含めてよいが、老人ホームへの入所は同居に当たらない
- 年金を受け取る人の「扶養親族等申告書」は日本年金機構に出す別の書類
- 出さないと乙欄になり、年末調整も行われない
基準が動いた年は、去年と同じ書き方が、そのまま損になります。
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出典
- 国税庁「令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
- 国税庁「≪記載例≫令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
- 国税庁 タックスアンサー No.1180 扶養控除
- 国税庁 タックスアンサー No.1180 扶養控除(Q&A)
- 国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A(令和8年5月)」
- 国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」
- 国税庁 A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告
- 国税庁「令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
- 国税庁 タックスアンサー No.2511 税額表の種類と使い方
- 国税庁 質疑応答事例「2以上の所得者がいる場合の扶養親族等の所属」
- 総務省「個人住民税の『給与所得者の扶養親族申告書』等について」
- 国税庁「家族と税」
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」一 個人所得課税
- 日本年金機構「令和9年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」
- 日本年金機構 プレスリリース「令和9年分の扶養親族等申告書の手続きの開始」(令和8年9月3日)
本記事は2026年10月11日時点で公表されている内容に基づいています。令和9年分の欄の名前と金額は国税庁の令和9年分の様式・記載例によります。令和8年分の様式の裏面は改正前の内容のままになっている場合があります。個別の判断は勤務先または所轄の税務署にご確認ください。年金の扶養親族等申告書は日本年金機構にお問い合わせください。
よくある質問
扶養する家族がいなくても、扶養控除等申告書は出しますか?
出します。様式には、記載する親族がなく、自分も障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生に当たらない場合は、上の段の各欄を書いて給与の支払者に出すよう書かれています。出さないと、毎月の源泉徴収で乙欄が使われ、年末調整も行われません。
「扶養親族等申告書」と「扶養控除等申告書」は同じものですか?
別の書類です。「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」は、老齢年金や退職年金を受け取る人が日本年金機構に出すものです。会社員が勤務先に出すのは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です。年金の申告書の書き方は、日本年金機構のページで案内されています。
去年「扶養親族に該当しない」と言われた家族が、今年は対象になることはありますか?
あります。扶養親族に該当するための合計所得金額の上限が、令和8年度税制改正で58万円以下から62万円以下に引き上げられました。給与収入だけの人なら136万円以下が令和8年分の基準です。去年123万円前後で対象外だった家族は、今年は対象になる可能性があります。
年の初めに出した扶養控除等申告書は、出し直す必要がありますか?
改正で新しく扶養控除等の対象になった家族がいる場合は、その旨を記載した申告書を勤務先に提出します。国税庁は「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載するよう案内しています。提出は原則として令和8年12月1日以後に最初に給与の支払を受ける日の前日までですが、年末調整を行う時までに提出があれば、その申告にもとづいて年末調整を行うことができるとされています。
扶養控除等申告書と、基礎控除申告書はどう違いますか?
扶養控除等申告書は扶養親族(主に子や親)の人数と情報を書く書類です。基礎控除申告書は自分自身の所得を、配偶者控除等申告書は配偶者の所得を申告する書類で、こちらは別の記事で解説しています。
扶養親族の年齢はいつの時点で判定しますか?
その年の12月31日時点の年齢で判定します。年の途中で誕生日を迎えて年齢の区分が変わる場合は、12月31日時点の年齢に合わせてください。
別居している親でも扶養控除の対象になりますか?
なります。生計を一にしていれば同居は要件ではありません。ただし「同居老親等」(控除額58万円)に該当するには実際に同居している必要があり、仕送りのみで別居している場合は「同居老親等以外」(控除額48万円)になります。
16歳未満の子は、どこに書きますか?
申告書の下のほうにある「住民税に関する事項」欄です。16歳未満は所得税の扶養控除の対象ではないので控除額は増えませんが、この様式は個人住民税の「給与所得者の扶養親族申告書」と統合されているため、記載が必要です。マイナンバーの記載も求められます。



