結論
- 限度額の計算式は 住民税所得割額 × 20% ÷(90% − 所得税の税率 × 1.021)+ 2,000円
- 独身・共働きの会社員なら、年収500万円で約5万7,000円、700万円で約10万8,000円。2026年中の寄附で、社会保険料を年収の15%とした編集部の試算。扶養家族や他の控除があると下がる
- 限度額の範囲内なら自己負担は2,000円だけ。超えた分は住民税の特例分の控除がなく、大半が自己負担になる
- 自分の数字は限度額シミュレーターで、年収と家族構成を選ぶだけで出せる
- 令和9年分の寄附から、特例分の控除額に193万円という上限が新設される。寄附額そのものに上限はない(対象はごく一部の超高所得者)
ふるさと納税の限度額は、住民税の所得割額と所得税の税率の2つが分かれば、式1本で計算できます。 この記事では、その式と年収別の金額、式に入れる数字の調べ方を、総務省の資料で確かめながら順に書きます。
限度額の計算式
ふるさと納税の限度額(自己負担2,000円で収まる寄附額の上限)
住民税所得割額 × 20% ÷(90% − 所得税の税率 × 1.021)+ 2,000円
- 住民税所得割額 … 住民税のうち、所得に10%をかけて出す部分(調整控除を引いたあと、住宅ローン控除などの税額控除を引く前の額)
- 所得税の税率 … 課税所得に応じた5〜45%の7段階のうち、自分に当てはまる率
- 1.021 … 所得税に上乗せされる復興特別所得税の分。総務省の計算方法も、令和19年中の寄附まではこの率を加えた税率を使います
この式は、総務省が示す「住民税の特例分の控除」の式と、その上限(住民税所得割額の2割)がちょうど等しくなる寄附額を解いたものです。なぜそうなるのかは、次の「控除は3つの合計でできている」で説明します。
年収500万円・独身で計算してみる
2026年中に寄附する場合です(令和8年分の所得税・令和9年度分の住民税)。給与のみ、社会保険料75万円(年収の15%)、ほかの控除なしとします。
給与所得 500万円 -(500万円×20%+44万円)= 356万円
所得税の課税所得 356万円 - 社会保険料75万円 - 基礎控除104万円 = 177万円 → 税率5%
住民税の課税所得 356万円 - 社会保険料75万円 - 基礎控除43万円 = 238万円
住民税所得割額 238万円 × 10% - 調整控除2,500円 = 235,500円
限度額 = 235,500円 × 20% ÷(90% - 5% × 1.021)+ 2,000円
= 47,100円 ÷ 84.895% + 2,000円
= 55,480円 + 2,000円 = 57,480円
この人の限度額は約5万7,000円です。所得税の基礎控除104万円は、令和8年分で合計所得489万円以下の人の額です(国税庁 No.1199)。住民税の基礎控除は43万円のままなので、所得税と住民税で課税所得が違います。
同じ計算を、年収と家族構成を選ぶだけで行うのがふるさと納税の限度額シミュレーターです。源泉徴収票があれば、社会保険料の実額を入れて精度を上げられます。
年収別の上限額(独身・共働きの会社員)
上と同じ前提で計算した編集部の試算です。2026年中の寄附、給与のみ、社会保険料は年収の15%とし、配偶者控除・扶養控除・iDeCo・医療費控除などは入れていません。
| 年収 | 所得税の税率 | 住民税所得割額 | 限度額の目安 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 5% | 111,500円 | 約2万8,000円 |
| 400万円 | 5% | 170,500円 | 約4万2,000円 |
| 500万円 | 5% | 235,500円 | 約5万7,000円 |
| 600万円 | 10% | 300,500円 | 約7万7,000円 |
| 700万円 | 20% | 369,500円 | 約10万8,000円 |
年収が上がると所得割額が増えます。さらに所得税の税率が上がると、式の分母(90% − 税率×1.021)が小さくなります。 この2つで限度額が上がります。500万円と600万円の間で差が大きいのは、税率が5%から10%に上がるためです。
この表が当てはまらない人
- 配偶者控除・扶養控除を受けている人は、所得割額が下がるため限度額も下がります
- iDeCoの掛金・医療費控除・生命保険料控除がある人も下がります
- 住宅ローン控除は、限度額の基準になる所得割額(住宅ローン控除を引く前の額)を変えません
家族構成ごとの金額は、シミュレーターの早見表で年収×家族構成の全パターンを見られます。
控除は3つの合計でできている

ふるさと納税をすると、寄附額から2,000円を引いた金額が、次の3つに分かれて控除されます。
控除の内訳
- 所得税からの控除(寄附金控除・所得控除)
=(寄附額-2,000円)× 所得税の税率(0〜45%)
- 住民税からの控除(基本分)(税額控除)
=(寄附額-2,000円)× 10%
- 住民税からの控除(特例分)(税額控除)
=(寄附額-2,000円)×(100% - 10% - 所得税の税率)
①と②で控除しきれなかった分を、③がまとめて引き受ける設計です。①+②+③を全部足すと、 ちょうど「寄附額-2,000円」になります。 これが「自己負担2,000円」の中身です。
ただし③には上限があります。住民税所得割額の2割までです。この上限に達すると、 それ以上寄附しても③が増えなくなり、自己負担が2,000円では済まなくなります。 これが「限度額」の正体です。
③の式「(寄附額-2,000円)×(90%-所得税の税率)」が「住民税所得割額×20%」と等しくなる寄附額を求めます。これが最初に書いた計算式です。所得税の税率には復興特別所得税を加えるので ×1.021 になります。
総務省の例で計算してみる
総務省が示している例(年収700万円の給与所得者、夫婦子なし、ふるさと納税額3万円) で確認します。
寄附額 30,000円 - 2,000円 = 28,000円
① 所得税からの控除 = 28,000円 × 20%(所得税率) = 5,600円
② 住民税からの控除(基本分)= 28,000円 × 10% = 2,800円
③ 住民税からの控除(特例分)= 28,000円 ×(100%-10%-20%)= 19,600円
合計 5,600円 + 2,800円 + 19,600円 = 28,000円
寄附額30,000円のうち28,000円がちょうど控除され、自己負担は2,000円だけになります。
この例の前提
所得税率は年収や家族構成によって変わります。この例は総務省が示している「年収700万円・ 夫婦子なし」という特定の条件でのものです。自分の所得税率が何%かで、 ①と③の金額は変わります。
また、総務省の資料が注記しているとおり、実際の計算では所得税率に復興特別所得税を加えた率 (20%なら20.42%)を使います。この例は分かりやすさのために20%で計算されています。
令和9年分から、特例分の控除額に193万円の上限ができる
これまで③の特例分は「住民税所得割額の2割まで」という割合の上限しかありませんでした。 理屈のうえでは、所得が高い人ほど住民税所得割額も大きくなるため、特例分の上限額に 天井がありませんでした。
総務省の資料には、次の内容が示されています(表形式の資料を文章として整理したものです)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 新設される上限 | 特例控除額について193万円(給与収入1億円相当)を上限として新たに設定 |
| 寄附額そのものの上限 | なし(上限を超えて寄附しても、基本分の控除は引き続き適用される) |
| 適用時期 | 令和9年寄附分から |
出典:総務省「令和8年度地方税制改正(案)について」
何が変わったか
- 特例分(③)の控除額に、193万円という金額の上限が新設される
- 対象になるのは、給与収入がおよそ1億円を超える層(特例分が193万円に達するのが給与収入1億円相当)
- 寄附額そのものに上限はない。 ただし特例分が193万円で止まるため、この層では自己負担2,000円で済む寄附額(限度額)が頭打ちになる
- 上限を超えて寄附しても、基本分(②の10%控除)は引き続き適用される
- 適用は 令和9年分の寄附から(令和8年分にはまだ適用されない)
一般的な会社員・家庭にとっては、直接関係のない変更です。 年収300万〜1,000万円程度の 家庭が、この193万円という上限に達することはまずありません。ただし、ふるさと納税を 「節税」目的で大口に使っていた超高所得者にとっては、実質的な増税になる改正です。
式に入れる数字の調べ方と、何年の収入で決まるか
計算式に入れるのは所得税の税率と住民税所得割額の2つです。 どちらも年収・家族構成・他の控除(社会保険料控除、iDeCo、医療費控除など)によって変わります。
限度額は、寄附した年の1月〜12月の所得で決まります。 総務省のよくある質問も、税の軽減は「1月〜12月」の年単位で、その1年間の所得に対する課税の中で扱われるとしています。2026年に寄附するなら、2026年の年収で計算します。10月や11月の時点では年収がまだ確定していないので、冬のボーナスや年末の退職で収入が下がる見込みがあれば、その分を差し引いて考えます。
| 数字 | どこで分かるか | 注意 |
|---|---|---|
| 年収・社会保険料 | 源泉徴収票(見方はこちら) | 去年の源泉徴収票は去年の数字。今年の見込みに置き換える |
| 住民税所得割額 | 毎年5〜6月に届く住民税の決定通知書の「所得割額」の欄(年税額の合計ではない) | 市町村民税と道府県民税を足した額(住宅ローン控除や前年のふるさと納税の控除を引く前の額)。通知書は前年の所得と前年の税制で計算されている |
| 所得税の税率 | 課税所得から国税庁 No.2260 の表で判定 | 区分の境目をまたぐと限度額が大きく変わる |
前年の数字をそのまま使うと、限度額を多めに見積もることがあります
所得税率は5%・10%・20%・23%・33%・40%・45%の7段階で、課税所得が区分の境目をまたぐと限度額が大きく変わります。住民税所得割額も人それぞれです。 手計算で少しでも条件を見誤ると、限度額を超えて寄附してしまうおそれがあります。計算した額はシミュレーターでも確かめてください。 また、寄附は計算した限度額より少し手前でとどめておくと安心です(国の決まりではなく、計算のずれに備えるための考え方です)。
なお、178万円の壁で解説した令和8年度税制改正(基礎控除・給与所得控除の 引き上げ)は、所得税率の区分にも影響します。限度額そのものが前年と変わることがあります。 税率の区分が1段階下がる人は限度額も下がるため、去年と同じ金額のつもりで寄附すると超えることがあります (独身・年収500万円・社会保険料を年収の15%とした編集部の試算で、約6万1,000円→約5万7,000円)。
まとめ
- 限度額=住民税所得割額×20%÷(90%-所得税の税率×1.021)+2,000円
- 独身・共働きの会社員なら、年収500万円で約5万7,000円(2026年中の寄附・編集部の試算)
- 限度額は寄附した年の1月〜12月の所得で決まる。前年の通知書の数字は前年の所得と税制にもとづく
- 控除は「所得税分+住民税基本分+住民税特例分」の3つの合計
- 限度額内なら自己負担2,000円。超えた分は特例分の控除がなく、大半が自己負担になる
- 令和9年分の寄附から、特例分に193万円という金額の上限が新設される(寄附額の上限ではない。超高所得者のみ対象)
- 自分の限度額は、シミュレーターに年収と家族構成を入れて確認する
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寄附の申し込みは、下のいずれかのサイトから行えます。どのサイトから申し込んでも、控除される金額は同じです。掲載されている自治体と返礼品の数、サイトの使い勝手が違います。
当サイトは各サイトから紹介料を受け取ることがありますが、紹介料の有無や金額は掲載順・掲載内容に影響させていません。返礼品の還元率など、制度の趣旨から外れる比較は行いません。
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出典
- 総務省「ふるさと納税に係る控除額の概要」
- 総務省「ふるさと納税について(指定基準に係る告示改正)」
- 総務省「令和8年度地方税制改正(案)について」
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」
- 総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」
- 国税庁 タックスアンサー No.2260 所得税の税率
- 総務省「ふるさと納税ポータルサイト|よくある質問」
- 国税庁 タックスアンサー No.1199 基礎控除
- 国税庁 タックスアンサー No.1410 給与所得控除
- e-Gov法令検索「地方税法」(第314条の2 所得控除、第314条の6 調整控除)
本記事は2026年10月13日時点で公表されている内容に基づいています。年収別の金額は編集部の試算です。個別の限度額は、お住まいの市区町村の住民税の担当部署または所轄の税務署にご確認ください。
よくある質問
ふるさと納税の限度額の計算式は?
「住民税所得割額×20%÷(90%−所得税の税率×1.021)+2,000円」です。住民税の特例分の控除が所得割額の2割に届くところが限度額になる、という総務省の計算方法を寄附額について解いた形です。所得税の税率は5〜45%のうち自分に当てはまる率を使います。
年収500万円ならふるさと納税はいくらまでですか?
独身または共働きの会社員で、給与のみ・社会保険料が年収の15%・ほかの控除なしなら、2026年中の寄附で約5万7,000円です(編集部の試算)。配偶者控除や扶養控除を受けている人、iDeCoや医療費控除がある人は下がります。自分の条件ではサイト内のシミュレーターで確かめてください。
ふるさと納税の自己負担2,000円は誰でも同じですか?
限度額の範囲内で寄附している場合に限ります。限度額を超えて寄附した分は住民税の特例分の控除がなく、所得税と住民税の基本分の控除しか受けられないため、自己負担が2,000円を超えます。
193万円の上限ができたということは、193万円までは誰でも寄附できるということですか?
いいえ。193万円は寄附額の上限ではなく、住民税の特例分の控除額に新設される上限です(令和9年分の寄附から)。寄附額そのものに上限はありません。特例分が193万円に達するのは給与収入1億円相当の超高所得者で、一般的な会社員・家庭の限度額とは関係ありません。年収300万〜1,000万円程度の家庭では、この上限に達することはまずありません。
正確な自分の限度額を知るにはどうすればいいですか?
計算式に入れる所得税率と住民税所得割額は、年収・家族構成・ほかの控除によって変わります。サイト内の限度額シミュレーターに年収と家族構成(あれば源泉徴収票の社会保険料)を入れて確認してください。最終的な額は、お住まいの市区町村の住民税の担当部署で確かめられます。
限度額を少し超えて寄附してしまったらどうなりますか?
超えた部分には住民税の特例分の控除がなく、所得税の寄附金控除と住民税の基本分(10%)の控除だけが残ります。ペナルティがあるわけではありませんが、超えた部分の大半が自己負担になります。



