先に結論
- iDeCoの改正の中心は2026年(令和8年)12月1日から。 12月分の掛金(2027年1月の引き落とし)から変わる。施行日は政令で決まっている
- 掛金の上限が上がる。 会社員・公務員は企業年金等と合計で月62,000円、自営業は国民年金基金等と合計で月75,000円。第3号被保険者(専業主婦・主夫)は月23,000円のまま
- 加入できる年齢が70歳未満まで延びる。 60歳以上の新規加入には2029年(令和11年)11月末までの経過措置がある
- 受け取りの扱いは2026年1月から変わった。 iDeCoの一時金を先に受け取り、その後9年以内に退職金を受け取ると、退職所得控除の調整の対象になる(以前は4年以内)
- 上限が上がっても、掛金は自動では増えない。増やすには手続きが要る
- 原則60歳まで引き出せない点は、改正後も変わらない。途中でやめても、お金は戻ってこない
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を出し、自分で運用商品を選んで老後の資産を 準備する私的年金制度です。掛金は全額が所得控除になります。
この記事では、まず改正で何がいつから変わるのかを一覧にし、決まっていることと、 人によって違うことを分けて書きます。そのあとで、自分の上限の出し方、所得控除を受けるまでの手続き、 60歳まで引き出せないとは何を意味するのかを、厚生労働省・国民年金基金連合会の資料と法令から整理します。 特定の金融機関や運用商品をすすめる記事ではありません。
iDeCoの改正で、何がいつから変わるか
| いつから | 変わること | 根拠 |
|---|---|---|
| 2026年1月1日以後に受け取る一時金 | 退職金を受け取る年の前年以前9年内にiDeCoの一時金を受け取っていると、退職所得控除の調整の対象になる(改正前は4年内) | 所得税法施行令第70条 |
| 2026年4月分 | 自動移換された人の管理手数料が月98円になる | 国民年金基金連合会 |
| 2026年12月1日(12月分の掛金・2027年1月引き落とし) | 拠出限度額の引き上げ(会社員・公務員は企業年金等と合計で月62,000円、自営業は国民年金基金等と合計で月75,000円) | 政令(令和7年政令第442号) |
| 2026年12月1日 | 加入できる年齢が70歳未満まで延びる(新設の第5号加入者) | 年金制度改正法(施行期日は令和7年政令第441号) |
| 2026年12月1日〜2027年11月30日 | 改正前の上限を超えて初めて増額する場合は、年1回の変更回数に数えない | 国民年金基金連合会 |
| 2027年1月26日の引き落とし分 | 掛金を納めるたびに国民年金基金連合会に払う手数料が105円から月額120円になる | 国民年金基金連合会 |
| 2029年11月末まで | 要件に当たらない60歳以上70歳未満の人も、新たに加入できる経過措置 | 厚生労働省 |
出典:厚生労働省「2025年の制度改正」、e-Gov法令検索「所得税法施行令」、国民年金基金連合会の各案内(記事末尾の出典一覧)
それぞれの中身は、この下の見出しで順に書きます。
決まっていること
上の表の項目は、どれも法令か国民年金基金連合会の案内で、日付まで決まっています。 厚生労働省の施行スケジュールでは、拠出限度額の引き上げは政令(国民年金基金令等の一部を改正する政令)、 加入できる年齢の引き上げは法律の改正によるもので、施行日はどちらも2026年12月1日です。 2026年10月11日の時点では施行前なので、この記事では12月1日からの内容を「予定」と書いているところがあります。
脱退一時金(途中で現金として引き出す制度)の要件は、今回の改正では変わりません。 厚生労働省の「2025年の制度改正」に、iDeCoの脱退一時金の見直しは載っていません。
まだ決まっていないこと・人によって違うこと
公的な資料だけでは答えが出ないもの
- 企業年金がある会社員の、改正後の上限額。 62,000円から勤務先の企業年金等の掛金相当額を引いた額になるため、勤務先によって違う
- 12月分から増額するときの申込みの締切。 事前受付の始まりと締切は運営管理機関ごとに違う
- 第3号被保険者の上限(月23,000円)の引き上げ。 厚生労働省の改正後の限度額の資料でも23,000円のままで、この先の引き上げの予定は公表されていない
- 運営管理機関に払う手数料。 国民年金基金連合会の分とは別で、機関ごとに違う
自分の上限と締切は、勤務先と、口座のある運営管理機関に確かめてください。
iDeCoの3つの税制優遇

税制上のメリット
- 掛金が全額所得控除になる(小規模企業共済等掛金控除)
- 運用益が非課税で再投資される(通常の金融商品の運用益には源泉分離課税がかかります)
- 受け取るときも控除がある(一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除)
厚生労働省は公務員向けの資料で、所得税20%・住民税10%の場合の例を出しています。 毎月2万円の拠出で年間7万2千円、毎月5万4千円の拠出で年間19万4千4百円の節税効果に なる、という説明です。掛金の年額に、所得税と住民税の税率を合わせた割合をかけた額が、 負担の軽減になります。
所得控除は「税金を払っている人」に効く
所得控除は、課税所得を減らすことで税額を下げる仕組みです。 課税所得がない方には、掛金の所得控除による負担の軽減は生じません。 その場合、3つの優遇のうち効くのは2番目と3番目だけになります。
iDeCoの掛金は保険料控除申告書の 「小規模企業共済等掛金控除」の欄で申告します。手続きは記事の後半で書きます。
拠出限度額は、人によって違う

「iDeCoは月2万3千円まで」って聞いたけど、それでいいの?

その額があてはまるのは、加入者の一部です。年金の種別と、勤務先の企業年金。 この2つを見ないと自分の上限は出ません。 取り違えると、枠を使い残します。
いまの拠出限度額(令和8年11月まで)
| 区分 | iDeCoの月額上限 |
|---|---|
| 第1号被保険者(自営業・フリーランス・学生)、任意加入被保険者 | 68,000円(国民年金基金等との合算枠) |
| 第2号被保険者(企業年金なしの会社員) | 23,000円 |
| 第2号被保険者(企業型DC・DB等がある会社員、公務員) | 20,000円(下記の合算枠あり) |
| 第3号被保険者(第2号に扶養されている配偶者) | 23,000円 |
出典:厚生労働省「確定拠出年金制度の拠出限度額」
企業年金がある会社員と公務員には、もうひとつ条件があります。厚生労働省の資料によると、 iDeCoに拠出できるのは月額2.0万円までです。そのうえで、事業主の拠出額(企業型DCの事業主掛金額と DB等の他制度掛金相当額)との合計が、月額5.5万円の範囲内に収まる必要があります。 公務員は共済掛金相当額との合計で判定します。
つまり勤務先が企業年金にいくら出しているかで、自分の上限が変わります。 自分では計算できない額なので、勤務先か運営管理機関に確認してください。
令和8年12月からの拠出限度額
| 区分 | 改正後の月額上限 | 増える額 |
|---|---|---|
| 第1号加入者・第4号加入者(任意加入) | 国民年金基金等と合計で 75,000円 | 7,000円 |
| 第2号加入者(企業年金なし) | 62,000円 | 39,000円 |
| 第2号加入者(企業年金あり) | 企業年金等と合計で 62,000円 | 最大42,000円 |
| 第3号加入者 | 23,000円(変更なし) | — |
| 第5号加入者(新設・60歳以上70歳未満) | 企業年金等と合計で 62,000円 | 新設 |
出典:厚生労働省「iDeCo拠出限度額の引き上げ」
いちばん大きく動くのは、企業年金がある会社員と公務員です。 これまでiDeCo独自の枠として月2.0万円しか使えなかったところが、 企業年金等と合わせた62,000円という共通の枠に一本化される予定です。 公務員については、厚生労働省が月額54,000円という数字を出しています。 62,000円から共済掛金相当額8,000円を引いた額で、これまでの20,000円から34,000円の増額です。
第3号被保険者は据え置き
引き上げの対象は第1号・第2号・任意加入・新設の第5号です。 「iDeCoの枠が6.2万円に増える」という話は、第3号の方には当てはまりません。
掛金は月5,000円から、変更は年1回
iDeCo公式サイトでは、掛金は月々5,000円から1,000円単位で設定でき、 納付は毎月定額と年単位のどちらかを選べると説明されています。
注意したいのは変更の回数です。掛金額を変えられるのは1年(12月分から翌年11月分の掛金)に1回だけと 公表されています。「今月は苦しいから減らす」という使い方はできません。
例外は、今回の限度額の引き上げにあわせた増額です。国民年金基金連合会の案内(2026年8月)では、 2026年12月1日から2027年11月30日まで(運営管理機関の受付日基準)に、改正前の拠出限度額を超える額へ初めて 増額する場合は、年1回の回数に数えないとされています。第3号被保険者は限度額が上がらないため対象外です。
令和8年12月の改正:加入年齢と手続き
加入可能年齢の引き上げの根拠は、令和7年6月13日に成立した 「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」です。 拠出限度額の引き上げは、政令(国民年金基金令等の一部を改正する政令、令和7年政令第442号)で定められています。 厚生労働省の施行スケジュールでは、iDeCoの加入可能年齢の引き上げと、 iDeCo・企業型DC・国民年金基金の拠出限度額の引き上げは、どちらも令和8年12月1日と されています。口座引き落としでいうと2027年1月分からです。
加入できる年齢が70歳未満まで延びる
現在の加入要件は、国民年金の被保険者であって、かつ老齢基礎年金やiDeCoの 老齢給付金を受給していないことです。改正後は国民年金の被保険者でない 60歳以上70歳未満の方も、次のいずれかに当たれば加入・継続拠出ができると 公表されています。
60歳以上70歳未満で加入できる方(改正後)
- ① iDeCoの加入者
- ② iDeCoの運用指図者(掛金を出さず運用の指図だけをしている方)
- ③ 企業年金からiDeCoに資産を移換する方
- 上記①〜③のいずれかに当たり、かつ老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していない方、マッチング拠出を実施していない方
厚生労働省は「50歳の方がiDeCoを始めても最大20年間の掛金の拠出が可能に」と 説明しています。次の注記もあります。老齢基礎年金を繰り下げて老齢厚生年金を受給する方は、 加入できます。施行日までに老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給した場合は、 加入できません。
3年間の経過措置
令和11年11月末までは、上記の要件に当たらない60歳〜70歳未満の方でも、 新たにiDeCoに加入できると公表されています(老齢基礎年金を受給している方等、 一部の方は除きます)。施行日から3年を経過する日までの措置です。 ただし60歳以上で初めて加入した場合、受け取りは加入から5年経過後になります。
掛金を増やしたい人は、手続きが要る
限度額が上がっても、掛金が自動で増えるわけではありません。厚生労働省の資料には、 引き上げにあわせて掛金額の変更を希望する場合は手続きが必要と書かれています。 国民年金基金連合会の案内(2026年8月)では、2026年12月分(2027年1月引き落とし分)からの変更は、 専用の届出書による事前受付が2026年9月頃から、オンラインの e-iDeCo では 2026年12月1日〜24日に 手続きできるとされています。事前受付の開始日と締め切りは運営管理機関ごとに違い、 2026年9月1日に始めて10月末で締め切るところもあります。手続きの内容によっては、12月分に反映できない場合があるとされています。 時期と方法は運営管理機関に確認してください。
「原則60歳まで引き出せない」の中身
ここがiDeCoでいちばん誤解されるところです。引き出せないというのは、 解約できないという意味です。
途中でやめても、お金は戻ってこない
掛金の拠出をやめることはできます。ただしそれは「運用指図者」になるだけで、 積み上がった資産は受給できる年齢まで口座に残ります。しかも運用指図者にも 口座管理の手数料はかかり続けます。
現金として引き出す脱退一時金には、iDeCo公式サイトで7つの要件が示されています。 そのすべてを満たす必要があります。
脱退一時金の要件(すべて満たすこと)
- 60歳未満であること
- 企業型確定拠出年金の加入者でないこと
- iDeCoに加入できない者であること
- 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
- 確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではないこと
- 通算拠出期間が5年以下、または年金資産の額が25万円以下であること
- 企業型確定拠出年金またはiDeCoの加入者の資格を、最後に喪失した日から2年以内であること
太字にした6番目は「または」なので、どちらか一方を満たせば足ります。通算拠出期間が5年を超え、 かつ年金資産が25万円を超えると、この要件を満たせなくなります。
もうひとつの関門が3番目の「iDeCoに加入できない者」です。iDeCo公式サイトは、例として 国民年金保険料の免除を受けている方や外国籍の海外居住者などを挙げています。国民年金の保険料を 納めている方は原則としてiDeCoに加入できるため、この要件を満たしません。住宅の頭金や教育費に回すという使い方は できない制度だと理解しておいてください。

急にお金が要るようになったら、掛金を減らせばいいのかな。

掛金の変更は、上で見たとおり年に1回まで。もうひとつ、引き落としの口座には気をつけてください。 残高が足りずに落ちなかった月が、いちばん困ります。
引き落としができなかった月の掛金は追納できない、と国民年金基金連合会が案内しています。 その月の枠は消えます。
60歳になれば受け取れる、とは限らない
受給を始められる年齢は、60歳時点の通算加入者等期間で決まります。 iDeCoの加入者だった期間と、運用指図者だった期間を合算した期間です。
| 通算加入者等期間 | 受給できる年齢 |
|---|---|
| 10年以上 | 60歳 |
| 8年以上10年未満 | 61歳 |
| 6年以上8年未満 | 62歳 |
| 4年以上6年未満 | 63歳 |
| 2年以上4年未満 | 64歳 |
| 1月以上2年未満 | 65歳 |
出典:iDeCo公式サイト「iDeCoの給付」
55歳で始めた方は、60歳時点で5年です。この表では63歳まで受け取れません。 「60歳まで我慢すればいい」と考えて始めると、想定が3年ずれます。
60歳以上で初めて加入した方は、通算加入者等期間がなくても加入から5年を経過した日から 受給できると公表されています。受給の請求は75歳までに行う必要があります。 年金で受け取る場合は、5年以上20年以下の有期年金として扱われます。
掛金が所得控除になるまでの手続き
掛金を出しただけでは、税金は戻りません。申告して初めて控除になります。 会社員の方は、まず掛金の納付方法を確かめてください。
| 納付方法 | 年末調整での扱い |
|---|---|
| 事業主払込(給与天引き) | 勤務先が掛金額を把握しているため、証明書は発行されません。自分での申告は不要です |
| 個人払込(口座引き落とし) | 国民年金基金連合会から届く証明書を使って、自分で申告します |
国民年金基金連合会の案内では、控除証明書の発行対象から 「事業主払込を行っている第2号加入者」が除かれています。 自分がどちらなのかを先に確かめてください。
証明書は10月下旬に届く
個人払込の方には、小規模企業共済等掛金払込証明書が国民年金基金連合会から届きます。 令和8年分は、一括発行のハガキが10月23日発送、電子データが10月21日から順次発行と 2026年10月1日に公表されています。1月から9月までに払い込んだ額と、10月から12月の払込予定額が載ります。
年末調整では「給与所得者の保険料控除申告書」の 「小規模企業共済等掛金控除」の枠内にある「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の欄に 合計金額を記入し、左上に「重要」と記載がある払込証明書のページ(一番右側)を切り取って添付します。 自営業の方は確定申告です。国税庁は、控除できる金額はその年に支払った掛金の全額とし、 証明書を添付または提示するよう案内しています。
年の途中で始めた人が、つまずくところ
10月以降に始めた人は、一括発行に間に合わない
国民年金基金連合会のFAQでは、新規加入して初回引落が10月27日の場合、 証明書は11月下旬に発行されると説明されています。令和8年分の追加発行のハガキは11月25日、12月22日、 翌年1月22日に発送の予定です。勤務先の年末調整の締切に間に合わなければ、 自分で確定申告をして控除を受けることになります。
もうひとつ、年末の行き違いがあります。10月の証明書に載るのは12月までの払込「予定」額です。 12月の引き落としが残高不足でできなければ、実際の払込額はそれより少なくなります。 国民年金基金連合会は、年末調整時に引落予定の証明書で提出した場合は 確定申告で修正申告することになると案内しています。
1月から9月までに一度も掛金が引き落とされていない場合、証明書は発行されません。 去年まで届いていたハガキが今年は届かないときは、掛金の拠出が一時停止に なっていないか、運営管理機関に確認してください。
手数料と、元本割れ
iDeCoは、口座を持っているだけで費用がかかります。国民年金基金連合会に支払う額として、 加入・移換時に2,829円(初回のみ)、掛金納付の都度105円、掛金の還付が発生した場合は 1,048円(いずれも税込)が公表されています。このうち掛金納付の都度105円は、2027年1月26日の口座引落し分 (2026年12月分の掛金)から月額120円に見直すと国民年金基金連合会が案内しています(年単位拠出の方は、 120円に拠出期間の月数をかけた額)。このほかに運営管理機関と事務委託先金融機関の 手数料があり、機関によって異なります。運用商品によっては信託報酬等もかかります。
運用するのは自分です。投資信託などを選んだ場合、運用の結果によっては、 受け取る額が拠出した額を下回ることがあります。 手数料は、その運用成果とは関係なく 差し引かれます。
転職・退職時に放っておくと減り続ける
企業型確定拠出年金の加入者が、転職・退職等が発生した翌日の6か月後の月末までに 資産を移さないと、自動移換になります。自動移換された月の4か月後から、 管理手数料が毎月98円(特定運営管理機関58円と国民年金基金連合会40円。年間1,176円)、個人別管理資産から差し引かれると 公表されています(令和8年4月分からの額)。運用もされないまま、資産が減り続けます。
受け取るときの課税
受け取り方は、一時金・年金・その組み合わせから選べます。 課税の枠組みは、厚生労働省の資料でこう整理されています。
- 一時金で受け取る場合 … 退職所得控除による優遇措置
- 年金で受け取る場合 … 公的年金等控除による優遇措置
同じ資料には、運用資産には別途特別法人税が課されるが現在課税は停止中である、 という注記もあります。
2026年1月から:一時金と退職金の間が9年以内なら、控除が調整される
受け取りの扱いでは、2026年1月から変わった点があります。所得税法施行令の改正です。 会社の退職金を受け取る年の前年以前9年内に、iDeCoの一時金を受け取っていると、 退職金の退職所得控除の計算で、iDeCoの期間と勤続期間が重なる部分が調整の対象になります。 改正前は、この期間が4年内でした。
対象になるのは、2026年1月1日以後に支払を受けたiDeCoの一時金です。 たとえば60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で退職金を受け取る場合、 改正前は4年内に入らず調整の対象外でした。改正後は9年内に入るため、調整の対象になります。 順番が逆の場合、つまり退職金が先でiDeCoの一時金があとの場合は、前年以前19年内が調整の対象です。 こちらは改正前から変わっていません。
定年が65歳以降の会社員は、受け取る順番と間隔を確かめる
重なる期間の分だけ、退職金の退職所得控除が小さくなることがあります。 iDeCoを60歳で一時金にする予定だった方は、勤務先の退職金を受け取る年との間が9年以内かどうかを確かめてください。

どっちで受け取るほうが有利なの?

勤務先の退職金、受け取る年齢、公的年金の額で変わります。 このブログでは、どちらが得かという助言はしません。 受け取りが近づいたら、 税務署か税理士に、自分の数字を持って確認してください。
退職所得控除は勤続年数で、公的年金等控除は年齢と収入で額が変わります。 制度としては両方に控除の枠があるところまでが、この記事で書ける範囲です。
まとめ
- 改正の中心は令和8年(2026年)12月1日。12月分の掛金(2027年1月引き落とし)から拠出限度額が上がる。会社員・公務員は企業年金等と合計で月62,000円の共通枠に一本化
- 受け取りの扱いは2026年1月から変わった。iDeCoの一時金から9年以内に退職金を受け取ると、退職所得控除の調整の対象になる(以前は4年以内)
- 自営業は75,000円、公務員は54,000円。第3号被保険者は23,000円のまま
- 加入できる年齢が70歳未満まで延びる予定。60歳以上の新規加入には令和11年11月末までの経過措置がある
- 掛金額の変更は年1回(2026年12月〜2027年11月に改正前の限度額を超えて初めて増額する場合は数えない)。引き落とせなかった月の掛金は追納できない
- 脱退一時金は7つの要件をすべて満たした場合だけ。iDeCoに加入できない人(保険料免除者など)であることに加え、通算拠出期間5年以下または資産25万円以下であることが要る
- 受給開始年齢は通算加入者等期間で決まる。55歳から始めた人は63歳から
- 個人払込の方は、10月下旬に届く証明書で年末調整か確定申告をする
税制の優遇と、60歳まで動かせないという拘束は、同じ制度の表と裏です。 片方だけを見て決めないでください。
関連記事
出典
- 厚生労働省「iDeCoパワーアップします!」
- 厚生労働省「iDeCoの加入可能年齢の引き上げ」
- 厚生労働省「iDeCo拠出限度額の引き上げ」
- 厚生労働省「確定拠出年金制度の拠出限度額」
- 厚生労働省「2025年の制度改正」
- 厚生労働省「国家公務員・地方公務員の皆さまへ」
- iDeCo公式サイト「iDeCoの加入資格・掛金・受取方法等」
- iDeCo公式サイト「iDeCoの給付」
- iDeCo公式サイト「よくあるご質問」
- 国民年金基金連合会「令和8年分 控除証明書の発行時期と対象となる方」
- 国民年金基金連合会「控除証明書に関するよくあるご質問」
- 国民年金基金連合会「iDeCo掛金額変更をご希望の方へ、お手続きのご案内」(2026年8月)
- 国税庁 タックスアンサー No.1135「小規模企業共済等掛金控除」
- e-Gov法令検索「所得税法施行令」第70条
本記事は2026年10月11日時点で公表されている内容にもとづく制度の説明です。令和8年12月1日施行の内容は施行日が政令で決まっていますが、施行前のため「予定」と書いているところがあります。控除証明書の発行スケジュールは令和8年分のものです。特定の金融商品や運営管理機関を推奨するものではありません。加入手続き・掛金の変更・手数料は運営管理機関に、税制上の取り扱いは所轄の税務署にご確認ください。
よくある質問
iDeCoの改正はいつからですか?
拠出限度額の引き上げと加入できる年齢の引き上げは、2026年12月1日の施行です。掛金でいうと2026年12月分(2027年1月の引き落とし分)からです。一時金で受け取るときの退職所得控除の調整の見直しは、2026年1月1日以後に支払を受ける一時金からすでに適用されています。
iDeCoは誰でも加入できますか?
現行制度では、国民年金の被保険者であることが基本要件です。令和8年12月からの改正後は、一定の要件を満たせば60歳以上70歳未満の方も加入・継続できるようになる予定です。
iDeCoの掛金はいつでも引き出せますか?
引き出せません。老後の資産形成を目的とした制度のため、原則として60歳になるまで引き出せません。途中でやめる脱退一時金は、通算拠出期間が5年以下または年金資産が25万円以下であることなど、7つの要件をすべて満たした場合に限られます。
拠出限度額は全員同じですか?
違います。国民年金の第1号・第2号・第3号のどれにあたるか、勤務先に企業年金があるかどうかで変わります。令和8年12月からは、会社員・公務員は企業年金等と合計で月額62,000円という共通の枠に一本化される予定です。
掛金の所得控除はどう申告しますか?
口座引き落とし(個人払込)の方は、国民年金基金連合会から届く小規模企業共済等掛金払込証明書を使います。会社員は年末調整で保険料控除申告書の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の欄に記入して証明書を添付します。自営業の方は確定申告で申告します。給与天引き(事業主払込)の方は勤務先が把握しているため、証明書は発行されません。
手数料はかかりますか?
かかります。国民年金基金連合会に支払う額は、加入・移換時に2,829円(初回のみ)、掛金を納付するたびに105円と公表されています。掛金納付ごとの105円は、2027年1月26日の口座引落し分から月額120円に見直される予定です。このほか運営管理機関と事務委託先金融機関の手数料があり、金額は機関によって異なります。
iDeCoに加入すれば得をしますか?
一概には言えません。掛金の所得控除など税制上のメリットがある一方、原則60歳まで引き出せない拘束性、手数料、運用商品によっては元本割れの可能性があります。課税所得がない方には、掛金の所得控除による負担軽減は生じません。制度の仕組みと制約の両方を理解したうえで、加入するかどうかはご自身で判断してください。


