育休に入る年、育休中の年、復帰した年。この3年は、ふるさと納税の限度額が毎年変わります。
去年と同じ感覚で寄附すると、超えた分の大半が自己負担になります。
先に結論
- 育休中の限度額は、その年1〜12月の給与と賞与だけで計算します。 育児休業給付は非課税なので入れません
- 給与がゼロの年は、控除される税金がありません。 寄附した額がそのまま自己負担になります
- 年の途中まで給与がある年は、その給与から見込み年収を出し、限度額シミュレーターか計算式で出します
- 復帰した年も要注意。 年の途中からの収入なので、育休前の年収では計算できません
- 住民税の通知書を使う計算方法は、この3年間は使えません
なぜ限度額が下がるのか
ふるさと納税の控除上限は、住民税の所得割額でほぼ決まります。所得割は課税所得に対してかかるので、課税される所得が減れば、限度額も減ります。
育休中に何が起きるかを整理します。
| 働いているとき | 育休中 | |
|---|---|---|
| 給与 | あり | なし |
| 育児休業給付 | — | あり(非課税) |
| 所得税 | かかる | かからない |
| 社会保険料 | 払う | 免除 |
| 翌年度の住民税 | かかる | 大きく下がる |
育児休業給付は非課税です。 手取りとしては入ってきますが、税法上の所得ではありません。だから所得税もかからず、翌年度の住民税の計算にも入りません。
家計にとっては有利な仕組みですが、ふるさと納税の限度額という一点では不利に働きます。 限度額の土台になる所得が、そこには存在しないからです。
3年間、毎年変わります

1月に育休へ入り、翌々年の4月に復帰した場合で見てみます。
| その年の給与 | ふるさと納税の限度額 | |
|---|---|---|
| 育休に入った年 | 1月分だけ、または賞与のみ | 大きく下がる |
| 育休中の年 | ゼロ | ほぼゼロ |
| 復帰した年 | 4月〜12月の9か月分 | 満額の年より少ない |
| 翌年(フル勤務) | 12か月分 | 通常どおり |
限度額は「寄附した年の所得」で決まります
ここを勘違いすると計算を間違えます。
2026年に寄附した分は、2026年の所得にもとづいて、2027年度の住民税から控除されます。
つまり寄附する時点では、その年の所得はまだ確定していません。 12月にならないと年収が固まらないので、見込みで計算することになります。
育休中の限度額の計算のしかた
育休中の年の限度額は、次の順番で出します。
育休中の年の計算の順番
- その年1月〜12月に受け取る給与と賞与を足して、見込み年収を出す
- 育児休業給付と出産手当金は足さない(どちらも非課税)
- 見込み年収から、翌年度の住民税所得割額と所得税率の見込みを出す
- 下の式に当てはめる
出産手当金は、健康保険の保険給付です。健康保険法第62条により税金がかからないので、育児休業給付と同じく年収に入れません。
3と4は、限度額シミュレーターの「くわしく → 年収から」に見込み年収を入れれば、まとめて計算できます。
限度額の目安は、総務省が示す控除の計算式から次のように出せます。
限度額 ≒ 住民税所得割額 × 20% ÷(90% − 所得税率 × 1.021)+ 2,000円
所得税率に1.021を掛けるのは、令和19年中の寄附までは復興特別所得税を加えた率で計算するためです。
たとえば、見込みの所得割額が6万円、所得税率が5%なら次のとおりです。
6万円 × 20% ÷(90% − 5.105%)+ 2,000円 ≒ 1万6,000円
前年にフル勤務で同じ額を寄附していた人には、かなり小さく見える金額です。年の途中で育休に入った年は、この程度まで下がることがあります。
見込みは下に外れやすい
育休に入る年は、賞与が満額出ないことがあります。見込み年収は、支給が決まった額だけで計算してください。
見込みより年収が下がると、そのぶん限度額も下がります。迷う額は、12月に年収が固まってから寄附しても間に合います。
給与がゼロの年は、寄附した額がそのまま自己負担です
1年を通して育休で、給与も賞与もない年は、所得税も翌年度の住民税の所得割もかかりません。
ふるさと納税の控除は、所得税と住民税の所得割から差し引く仕組みです。差し引く税金がなければ、2,000円を超えた分も戻りません。
給与が少しあっても、所得割がかからない水準なら同じです。単身・扶養なしなら、総所得金額等が45万円以下だと所得割がかかりません。2026年中の給与で考えると、給与収入およそ119万円以下がこれにあたります(令和9年度分)。扶養する家族がいると、このラインは上がります。くわしくは住民税非課税世帯とはをご覧ください。
住民税の通知書は、この3年間は使えません

通知書を見れば正確に出せるって、他のページに書いてあったよね?

普通の年はそのとおりです。ただ育休の前後だけは、その方法がいちばん外れます。通知書が見ているのは、いまの年ではないからです。
限度額を正確に出す方法として、住民税の通知書に載っている所得割額を使うやり方があります。推計ではなく実額なので、通常はこれが最も正確です。
ただし、収入が大きく変わった年には使えません。
理由は単純です。通知書に書かれている金額は、前年の所得にもとづくものだからです。
- 育休中に届く通知書 … 働いていた年の所得で計算された、高い金額
- 復帰した年に届く通知書 … 育休中の所得で計算された、低い金額
どちらも「いまの年の所得」を表していません。そのまま使うと、上か下かに大きく外します。
この3年間は、年収の見込み額から計算する方法を使ってください。限度額シミュレーターの「かんたん」または「くわしく → 年収から」がそれにあたります。
復帰した年の見積もり方
いちばん間違えやすいのが復帰した年です。手順はこうなります。
見込み年収の出し方
- 復帰後の月給 × 復帰した月から12月までの月数
- その年に受け取る賞与を足す(復帰直後は満額出ないことが多いので、支給実績か見込みで)
- 時短勤務なら、時短後の月給で計算する
- 育児休業給付は足さない(非課税なので所得ではない)
たとえば4月復帰・月給30万円・賞与が夏冬合わせて40万円なら、30万 × 9か月 + 40万 = 310万円 が見込み年収です。
時短勤務を忘れずに
復帰後に時短勤務をする方は多くいます。それなのに、時短で下がった月給で計算し直していないケースをよく見ます。
育休前の月給で計算すると、限度額を数万円多く見積もることになります。
出産した年は、医療費控除で限度額がさらに下がります
出産した年は、医療費控除を使う人がいます。医療費控除は所得から差し引く控除なので、住民税の所得割が下がり、ふるさと納税の限度額も下がります。 見込みを出すときは、医療費控除の額も入れて計算してください。
もう一つ、手続きが変わります。医療費控除を受けるには確定申告が必要です。確定申告をすると、その年に出したワンストップ特例の申請はすべて無効になります。 確定申告書の中で、ワンストップ特例を申請した分も含めて寄附金控除を申告してください。
無効になる条件のくわしいことはワンストップ特例が使えない人・無効になるケースをご覧ください。
配偶者の扶養に入れることがあります

自分の限度額が下がるのは分かったけど、それだけの話だよね?

それだけでは終わらないことがあります。夫婦の両方が下がる場合です。ここを見落とすと、世帯として二重に超えます。
育休中は所得が下がるため、配偶者控除や配偶者特別控除の対象になることがあります。
そうなると配偶者側の課税所得が下がり、配偶者のふるさと納税の限度額も下がります。
世帯で見ると二重に下がります
- 育休を取った本人 … 所得がないので限度額がほぼゼロ
- 配偶者 … 配偶者控除を受けるぶん課税所得が減り、限度額が下がる
世帯としての寄附可能額は、前年よりかなり小さくなります。 夫婦それぞれが前年と同じ額を寄附すると、両方とも超える可能性があります。
配偶者控除の対象になる所得の基準は、令和8年度の税制改正で合計所得金額62万円以下に変わっています。詳しくは【2026年】年収の壁は178万円へをご覧ください。
それでも寄附したい場合
限度額が小さいからといって、ふるさと納税ができないわけではありません。
育休中でもできること
- 限度額の範囲内で少額を寄附する。 上限が1万円なら1万円までは自己負担2,000円で済みます
- 配偶者の名義で寄附する。 ただし配偶者の限度額も下がっている点に注意
- 翌年に回す。 復帰してフル勤務に戻った年なら、限度額は元に戻ります
名義に注意
寄附する人と、控除を受ける人は同じである必要があります。 配偶者の名義で申し込むなら、支払いも配偶者の名義で行ってください。
配偶者名義で申し込んで本人のクレジットカードで支払うと、控除が受けられないことがあります。
復帰した翌年は、逆に増えます
育休は「限度額が下がる期間」で終わりません。
フル勤務に戻れば所得は元に戻り、限度額も戻ります。しかも復帰した年は所得が少なかったぶん、その翌年度の住民税が安くなっています。
家計の余裕という意味では、復帰の翌年がいちばん動きやすい時期です。
よくある質問
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寄附の申し込みは、下のいずれかのサイトから行えます。どのサイトから申し込んでも、控除される金額は同じです。掲載されている自治体と返礼品の数、サイトの使い勝手が違います。
当サイトは各サイトから紹介料を受け取ることがありますが、紹介料の有無や金額は掲載順・掲載内容に影響させていません。返礼品の還元率など、制度の趣旨から外れる比較は行いません。
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出典
- 厚生労働省「育児休業等給付について」
- 日本年金機構「育児休業等期間中の保険料免除」
- 総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」
- 国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」
- e-Gov法令検索「健康保険法」第62条
本記事は2026年10月11日時点で公表されている内容に基づいています。個別の限度額や控除の適用は、所轄の税務署またはお住まいの市区町村にご確認ください。
よくある質問
育休中でもふるさと納税はできますか?
寄附そのものはできます。ただし控除の上限額は住民税の所得割で決まるため、育児休業給付だけで過ごした年は上限がごく小さくなります。年内に給与があったかどうかで大きく変わるので、その年の見込み年収で計算し直してください。
育休中のふるさと納税の限度額は、どう計算しますか?
その年1〜12月の給与と賞与だけを足して見込み年収を出し、そこから翌年度の住民税所得割額と所得税率の見込みを出します。限度額の目安は「所得割額×20%÷(90%−所得税率×1.021)+2,000円」です。育児休業給付と出産手当金は非課税なので年収に入れません。
育児休業給付金は所得になりますか?
なりません。育児休業給付は非課税で、所得税も住民税もかかりません。そのためふるさと納税の限度額を計算するときの所得にも含まれません。
復帰した年はどう考えればいいですか?
年の途中からの給与になるため、その年の年収は通常より少なくなります。限度額は寄附した年の所得で決まるので、復帰前の満額の年収で計算すると超過します。復帰後の月給に残りの月数を掛け、賞与を足した見込み額で計算してください。
住民税の通知書を使う計算方法は使えますか?
収入が大きく変わった年には向きません。通知書に載っているのは前年の所得にもとづく金額で、育休に入った年や復帰した年は前年と状況が違うためです。年収の見込み額から計算する方法を使ってください。



